第4楽章 Adagio. Sehr langsam und noch zurückhaltend
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「交響曲第9番 (マーラー)」の記事における「第4楽章 Adagio. Sehr langsam und noch zurückhaltend」の解説
アダージョ。非常にゆっくりと、抑えて 変ニ長調 4/4拍子 基本的には2つのエピソードを持つABABA+コーダの形式だが、同様な繰り返しが避けられており、絶えず表情が変化しているため、形式感は判然としない。交響曲第3番の終楽章もアダージョであり、構成的にも対応が見られる。2つの主題に基づく変奏曲とする解釈もある。 第3楽章で見られた回音音型(ミ・ファミレ♯ミ)を含む、弦の短い序奏(譜例13)で始まる。ここでは、ワーグナーの楽劇『トリスタンとイゾルデ』から「愛の死」が引用されていると見られる。また、ブルックナーの交響曲第9番の第3楽章冒頭主題との関連性も指摘されている。 譜例13 ヴァイオリンの主要主題(譜例14)は2度下降動機で始まり、回音音型に至るもの。各声部で回音音型が繰り返される。ファゴットの低いモノローグを挟んでホルンが主要主題の前半を歌う。 譜例14 第1のエピソードは、高弦と低弦によって、ファゴットのモノローグが拡大されたような音楽が奏され、薄明るい印象を残す。ヴァイオリン独奏や木管に2度下降動機が現れる。 ホルンが再び主要主題を出して、弦楽によって感動的に高まるが、次第に重苦しくなる。再び独奏ヴァイオリンと木管が現れて緊張が解ける。 第2のエピソードは、ハープの単純なリズムのうえに木管が淋しげに歌う。 弦、金管が加わってきて、主要主題となり、大きくクライマックスを築く。ここでは主要主題はほとんど形を失って、回音音型で覆われる。そしてヴァイオリンの高音に、第1楽章冒頭動機のシンコペーションが反復された後、再び主要主題が詠嘆的に大きく形を変えて再現する。 この後もう一度大きなクライマックスを築くが、徐々に主要主題は形を変え、断片的になっていく。 ヴァイオリン(譜例15)が『亡き子をしのぶ歌』第4曲(「太陽の輝くあの高みでの美しい日」、譜例16)を引用する。その後、回音音型が導かれ、徐々に力を失い、休止のあとアダージッシモのコーダに入る。 譜例15 譜例16 最後の34小節は、コントラバスを除く弦楽器だけで演奏される。回音音型を繰り返しながら浮遊感を湛えつつ、「死に絶えるように」最弱奏()で終わる。最後のヴィオラの音型は、ソ・ラ♭・シ♭・ラ♭(移動ドでファ♯・ソ・ラ・ソ)となっていて、これは同じく「死に絶えるように」と書かれた交響曲第7番第4楽章の最後、クラリネットの音型と同様である。 演奏時間は約21-29分程度。
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