死に絶えるように
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/07/30 08:41 UTC 版)
「交響曲第9番 (マーラー)」の記事における「死に絶えるように」の解説
この曲の第4楽章、最後の小節にマーラーはドイツ語でersterbend(死に絶えるように)と書き込んでおり、このことが第9交響曲全体を貫く「死」のテーマにつながっている。しかし、このersterbendの語が使われているのは、必ずしも第9番のこの部分だけではない。他に次のような例がある。 交響曲第2番、第4楽章「原光」の中間部、オーケストラの間奏部分。 交響曲第4番第3楽章の最後に、Gänzlich ersterbend(完全に死に絶えるように)と書かれている。同時に、イタリア語のmorendo(こちらは「だんだん遅く、弱く」という音楽上の発想記号として使われる)も書き込まれている。 交響曲第7番第4楽章の最後。morendoも書かれている。このクラリネットの音型は、第9番第4楽章最後の音型と同様のもの。 『大地の歌』第6楽章「告別」の最後に、Gänzlich ersterbendと書かれている。 このように、第9番だけが「死ぬように」終わっているわけではない。とはいえ、第2番の場合は楽章の途中である。第4番、第7番の場合は、中間楽章の終わりであって、いずれもその後に続く最終楽章で「天上」を描いているという解釈もなされている。全曲の終わりで、第9番とほぼ共通した使われ方をしているのは『大地の歌』である。 この発想表示や大地の歌#「第九」のジンクスの逸話などから、マーラーは迫り来る死の恐怖におびえ、あるいはこの恐怖と闘いながら作曲したという劇的なイメージが作られるが、「死」は、第9番に限らずマーラーが生涯を通じて追求してきたと同時に、20世紀初頭の芸術各分野で一般的に採り上げられる主題であったこともまた事実である。
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