第一部『幻世の祈り』
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2019/02/18 09:31 UTC 版)
八重桜の季節、東京都の児童相談センター職員・氷崎游子は、アルコール依存の男・駒田を警察に逮捕させ、彼に虐待され怪我を負った8歳の娘・玲子を保護する。「家族」に対して嫌悪感を持つ高校の美術教師・巣藤浚介は同僚教師で恋人の清岡美歩に生徒指導への無関心ぶりを非難され、同時に妊娠していることを告げられる。刑事の馬見原光毅は虐待被害の過去がある冬島綾女・研司の親子と擬似家族的な絆で結ばれているが、彼自身の家庭は息子・勲男の自殺めいた死以来、非行に走った娘・真弓、病に倒れた母、独りで家庭を支えようとし精神を病んだ妻・佐和子と、崩壊の状態にある。浚介は教え子の芳沢亜衣が男とホテルに行き傷害事件を起こした際、その前に浚介に強姦されたとの嘘を游子に話したことから彼女と知り合う。馬見原もまた、真弓の非行時代の担当者であり、彼の家族への態度を非難した游子との縁があった。 一方で、馬見原は裏社会に捜査情報を流して見返りに金を受け取る関係を結んでおり、その力関係を利用して、研司に重傷を負わせ刑期を終えた綾女の元夫・油井善博が親子に近づかないよう圧力をかける。また、馬見原を尊敬する若手刑事の椎村栄作は、彼との会話をヒントに頻発する動物殺し事件を独自に調べ始める。佐和子は自殺未遂と2度の入院を経て寛解し家に戻り、夫を困惑させるほどの前向きさを見せる。5月3日、いらだちを抱えながら絵画の制作をしていた浚介は、隣家の麻生家から耐えがたい悪臭が漂うことに気付き、苦情に訪れたところ中に3人の遺体を見つけてしまう。馬見原は通報を受けて現場に行き浚介と出会う。遺体は麻生家の夫婦と、そこにいない息子の祖父とみられ、生身にノコギリを引かれた末に絞殺された異様な状態であり、さらに別の部屋にカッターナイフで喉を裂き、祈りを捧げるようなポーズで死んでいる少年を発見する。現場には涙ににじんだ遺書らしきものが残され、馬見原は状況が示すものを受け入れられず困惑する。
※この「第一部『幻世の祈り』」の解説は、「家族狩り」の解説の一部です。
「第一部『幻世の祈り』」を含む「家族狩り」の記事については、「家族狩り」の概要を参照ください。
- 第一部『幻世の祈り』のページへのリンク