稚産霊とは? わかりやすく解説

ワクムスビ

(稚産霊 から転送)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/12/14 13:55 UTC 版)

ワクムスビ(ワクムスヒ)は、日本神話である。『古事記』では和久産巣日神、『日本書紀』では稚産霊と表記される。

『古事記』では食物神のトヨウケビメ(豊受比売神)を生み、『日本書紀』ではその体から五穀が生じている。

記述

古事記

古事記』では神産みの段に登場する。イザナミ(伊邪那美命)が火の神・カグツチ(火之迦具土神)を生んで火傷をし、病に伏せる。その尿(ゆまり)から、水の神・ミヅハノメ(弥都波能売神)が生まれ、次にワクムスビが生まれたとしている。食物(ウケ)の神である、トヨウケヒメを娘とする。

日本書紀

日本書紀』では第二の一書に登場する。イザナミが火の神・カグツチを生んで死ぬ間際に、土の神・ハニヤマヒメ(埴山姫)と水の神・ミズハノメを生む。そこでカグツチがハニヤマヒメを娶り、ワクムスビが生まれたとしている。そして、この神の頭の上に蚕とが生じ、臍(へそ)の中に五穀が生じたとしている。

これは、『古事記』のオオゲツヒメ(大気都比売)や、『日本書紀』第十一の一書のウケモチ(保食神)のような、食物起源の神話となっている。しかし、この2柱の神の場合は、殺された死体から穀物が生じているのに対し、ワクムスビの場合は殺される話を伴っていない。このため、かつてはワクムスビの単純な形が古いとされていたが[1]、現在は、「ハイヌウェレ型神話」が簡略化され、結末の部分だけが残されたものといわれている[2]

信仰

愛宕神社(京都市)、竹駒神社(宮城県)、安積国造神社(福島県)、麻賀多神社 (千葉県)などで祀られている。

脚注

  1. ^ 青木和夫石母田正小林芳規佐伯有清古事記岩波書店日本思想大系1〉、1982年、339頁。ASIN B000J7Q8KU 
  2. ^ 吉田敦彦『小さ子とハイヌウェレ』みすず書房、1976年、21頁。ASIN B000J9ATEY 

関連項目


稚産霊

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/10/22 19:21 UTC 版)

日本神話における食物起源神話」の記事における「稚産霊」の解説

また、日本書紀における神産み第二一書には、火の神軻遇突智火之迦具土神かぐつち)と、伊弉冉尊伊邪那美命いざなみ)が亡くなる直前生んだ土の神・埴山媛(はにやまひめ)の間に生まれた稚産霊(和久産巣日神・わくむすひ)の頭の上生じ、臍(ほぞ)の中に五穀生まれたという説話がある。ワクムスビ亡くなる(殺された)かどうか記述はないが、ハイヌウェレ神話型に分類されるのである

※この「稚産霊」の解説は、「日本神話における食物起源神話」の解説の一部です。
「稚産霊」を含む「日本神話における食物起源神話」の記事については、「日本神話における食物起源神話」の概要を参照ください。

ウィキペディア小見出し辞書の「稚産霊」の項目はプログラムで機械的に意味や本文を生成しているため、不適切な項目が含まれていることもあります。ご了承くださいませ。 お問い合わせ


英和和英テキスト翻訳>> Weblio翻訳
英語⇒日本語日本語⇒英語
  

辞書ショートカット

すべての辞書の索引

「稚産霊」の関連用語

稚産霊のお隣キーワード
検索ランキング

   

英語⇒日本語
日本語⇒英語
   



稚産霊のページの著作権
Weblio 辞書 情報提供元は 参加元一覧 にて確認できます。

   
ウィキペディアウィキペディア
All text is available under the terms of the GNU Free Documentation License.
この記事は、ウィキペディアのワクムスビ (改訂履歴)の記事を複製、再配布したものにあたり、GNU Free Documentation Licenseというライセンスの下で提供されています。 Weblio辞書に掲載されているウィキペディアの記事も、全てGNU Free Documentation Licenseの元に提供されております。
ウィキペディアウィキペディア
Text is available under GNU Free Documentation License (GFDL).
Weblio辞書に掲載されている「ウィキペディア小見出し辞書」の記事は、Wikipediaの日本神話における食物起源神話 (改訂履歴)の記事を複製、再配布したものにあたり、GNU Free Documentation Licenseというライセンスの下で提供されています。

©2025 GRAS Group, Inc.RSS