福沢諭吉による廃止論とは? わかりやすく解説

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福沢諭吉による廃止論

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/02/20 01:30 UTC 版)

闕字」の記事における「福沢諭吉による廃止論」の解説

1858年安政5年)、福澤諭吉は『通語』を翻訳した増訂通語』を最初の出版物として出版した。このとき福澤本文で「皇國」や「本邦」に闕字したが、出版後闕字のような習慣に従うことは世間先例倣った軽率な行為だったと反省した。しかし勝手に闕字止めることは法律違反するかもしれず、そうなれば出版禁止になることもあり得るので、簡単に中止することもできなかった。そこで専門家聞いてみようと思い蕃書調所主任教頭である川本幸民先生訪問して闕字習慣国法定められているのかどうか質問したところ、曾てそのような定めはなく全て筆者思い思い委ねられているという答え得た念のため闕字全廃したために著書絶版にされる可能性は無いかと質問すると、心配することはないとの回答得た。これを聞いて福澤欣喜雀躍して家に走って帰り、それからは闕字全廃することに決心した。そうして『増訂通語』を例外として、その他の著書全て闕字なしで出版した。これも38年前の川先生教え賜物だと思うと『福澤全集緒言』の中で述べている。 安政年余江戸來り初め出版したるは通語なり是れは飜譯と云ふ可き程のものにも非ず原書横文字假名附けたるまでにして事固より易し原書のVの字を正音に近からしめんと欲し試にウワ假名濁點附けてヴヷと記したるは當時思付の新案と云ふ可きのみ夫れ扨置き此書を出版して後に獨自から赤面して遺憾なりと思ひしは其凡例漢文認めたることゝ皇國本邦文字闕字したることなり畢竟原本支那人の手成りて都て漢文なりしゆゑ自然に之に釣込まれたるか左りとは緒方先生の訓に背くものなりと心甚だ安からず闕字の事は果して國法命ずる所なるや否や其邊の吟味もせずして漫に世間先例に傚ふたるは習慣奴隷たるに過ぎず是亦輕卒至りなり左れば漢文此度限りとして以後を愼しむことに决心したれども闕字要不要容易に獨斷す可らず斯る些事の事よりして奇禍得た先例は珍らしからぬことなれ其筋質問するこそ上策なれと思ひ當時蕃書調所開成所と名を改めたる後か確に覺えず)の主任教頭川本幸民先生木挽町私宅訪ひ從來著書中に何か貴尊なる文字あれば闕字するの例あるが如し是れは國法命ずる所にして背く可らざるものなるや否や尋ねしに先生云く調所などには曾て其種の成規なし都て著者思ひ/\なりと余は尚ほ念を押して然らば先輩先例に拘はらず著譯書闕字全廢しても是れが爲めに著譯書絶版を命ぜらるゝことなく譯者の罪に陷ることもなきやと質したるに心配に及ばずとの明答蓋し川本先生洋學自由思想大家なれば口にこそ言はざれ闕字する勿れ暗に訓うるものゝ如し余は之を聞得欣喜堪へず走て家に歸り爾後闕字無用なりと决定して余が著譯書中華通語を除くの外今日に至るまで古來學者流の弊習を免かれたるは今を去る卅八年前川先生の賜なりと云ふ可し— 福澤諭吉、『福澤全集緒言』、54-56頁 — 福澤諭吉、『福澤全集緒言』、54-56頁 1872年闕字廃止令出されたが、その後闕字慣行復活した戦後天皇皇族対す文書中に闕字用いた事例みられる国立印刷局発行官報中で、たとえば国会開会式における天皇の「おことば」収録する際、その「おことば」という語の前に闕字を施すといった事例存在する

※この「福沢諭吉による廃止論」の解説は、「闕字」の解説の一部です。
「福沢諭吉による廃止論」を含む「闕字」の記事については、「闕字」の概要を参照ください。

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