神話に見る毒矢
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2018/08/07 22:39 UTC 版)
時代が下り、世界各地で宗教・神話が形成されると、その中に毒矢が登場し、該当地域での毒矢の存在を裏付けるものとなる。以下に例を挙げる。 ギリシア神話 英雄ヘーラクレースが巨大な毒蛇の怪物ヒュドラーを退治した際その血液を手に入れ、毒矢の材料に用いた。ヘーラクレースはその毒矢で巨人エウリュトスを倒すなどの活躍を見せるが、後に誤って師ケイローンの死の原因を作ってしまう。また彼はケンタウロスのネッソスをヒュドラーの毒矢で射殺したが、ネッソスの血で染められた衣服を身に纏ったため毒が身体に回り死亡することとなった。 仏教説話 初期の仏教経典である阿含経に収められた釈迦の説法のひとつとされるものに「毒矢の例え」がある。ある人が釈迦に、「この世は永久のものでしょうか、無常のものでしょうか。世界には限りがあるのでしょうか、無限のものでしょうか…」等々、次々に質問を浴びせた。釈迦はその質問に直接は答えず、「毒矢に当たった者が、矢を抜く前に『矢を放った者は誰か、矢の材質は、私を診察する医師の名は、その階級は…』と聞いていたらどうなるだろうか。」と言い、真理を知るためには順番があると諭した。 プーラン族の神話 世界の始まりには、太陽は9人の姉妹神であり、月は10人の兄弟神だった。これらの神々は大神グメイヤに反旗を翻して一斉に空に現れ、地上の生物全てを焼き殺そうとした。怒ったグメイヤは、8つの太陽と9つの月を毒矢で射殺したため太陽と月は1つずつとなり、最後の月も毒矢がそばを掠めたのに恐怖したため、月は熱を失ったのだという。 日本神話 磐余彦尊(後の神武天皇)の東征の際、大和地方で東征に抵抗した豪族である長髄彦の「痛矢串」によって、磐余彦尊の兄である五瀬命は深傷を受け、その傷が元で死亡した。この「痛矢串」は「痛烈な威力の矢に串刺しにされた、貫かれた」と解釈するのが一般的である一方、これを毒矢と解釈する意見もある。
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