神話のなかのニンリル
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/07/14 14:22 UTC 版)
ニンリルは家族とともにディルムンで暮らしていた。夫となるエンリルに暴行を受けたニンリルは、水を注がれて後に月神となる男児ナンナ(シン)を身ごもった。罰としてエンリルはエレシュキガルの冥界の王国へ追放され、ニンリルもその後を追った。エンリルは「門番」に扮して彼女を妊娠させ、死の神となる息子ネルガルを生ませた。同様にエンリルは「冥界の川『人喰い河』の男」に扮し、ニンリルに冥界神ニンアズを生ませた。最後にエンリルは「船頭」に扮し、第4子である河と運河の神エンビルルを生ませた。これらすべての所業は、シン(ナンナ)を昇天させる身替わりを作るためだった。文書によってはニンリルは、鎚鉾シャルウルを振るって鬼神アサグを退治した英雄神ニヌルタの母ともされる。 ニンリルは死後にエンリルと同じ風神となった。『アダパ』の物語で触れられている「南風の女神」は彼女と思われるが、これは夫エンリルが冬の北風と結び付けられるのと同様である。ニンリルは「風の女王」としてアッカドの悪魔リリートゥと関連づけられ、ヘブライのリリス伝説の原型となったと考えられている。
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