神経作用
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/10/25 00:12 UTC 版)
セロトニン神経(5-HT神経)の活動特性は、覚醒時に抵頻度発射(規則的な 3–5 Hz の発射活動)を継続して、標的細胞のシナプス間隙に一定のセロトニンを分泌させ、覚醒状態を維持することにある。痛みやストレスなどの内外環境からの覚醒・ストレス刺激には影響されない。徐波睡眠に移行するとその活動が減弱、レム睡眠になると、完全に消失する。 脳内のパターン形成機構によるリズム性運動(歩行運動、咀嚼運動、呼吸運動、グルーミングなど)で興奮し、覚醒状態における種々な活動に適度な緊張(抗重力筋の緊張や交感神経の緊張など)を与える役割がある。覚醒時の5-HT神経系の活動が抑制された状態はうつ病や慢性疲労症候群などの症状を惹起するとされる。 抗うつ薬にはセロトニンに関わる薬があり、TCA・SSRI・SNRI・MAO阻害剤が主に当てはまる。セロトニンの再取り込みを阻害することによってシナプス間のセロトニンの量が増えるとされる。 製薬会社は自社の抗うつ薬の宣伝として、セロトニンの欠乏を正常化するというように説明するが、これは証拠によって裏付けられていない比喩的な説明である。 疼痛に関しては、延髄の大縫線核からの下行性疼痛制御系での伝達物質として働く。縫線核の細胞体に存在する5-HT1A受容体(オートレセプター)にセロトニンが作用すると、終末からセロトニン放出が抑制される。この受容体の機能が低下(脱感作)すると、神経終末からセロトニン放出が促進する。 GABAを伝達物質として持つ抑制性介在ニューロンは興奮性セロトニン受容体(5-HT2A・5-HT3)と抑制的セロトニン受容体(5-HT1B・5-HT1C)を持つ。1次ニューロンの終末は興奮性セロトニン受容体(5-HT2A・5-HT3・5-HT4)と抑制的セロトニン受容体(5-HT1A・5-HT1B・5-HT1C)を、2次侵害受容ニューロンは抑制的セロトニン受容体(5-HT1A)を持つ。
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