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硫酸カリウム

(硫加 から転送)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/10/27 00:39 UTC 版)

硫酸カリウム
Potassium sulfate
硫酸カリウム
アルカナイト
アルカナイト (K2SO4)
物質名
識別情報
3D model (JSmol)
ChEBI
ChEMBL
ChemSpider
ECHA InfoCard 100.029.013
EC番号
  • 231-915-5
E番号 E515(i) (pH調整剤、固化防止剤)
KEGG
PubChem CID
RTECS number
  • TT5900000
UNII
CompTox Dashboard (EPA)
性質
K2SO4
モル質量 174.259 g/mol
外観 白色結晶性固体
密度 2.66 g/cm3 [1]
融点 1,069 °C (1,956 °F; 1,342 K)
沸点 1,689 °C (3,072 °F; 1,962 K)
111 g/L (20 °C)
120 g/L (25 °C)
240 g/L (100 °C)
溶解度 グリセロールにわずかに溶ける。
アセトンアルコール二硫化炭素には溶けない。
構造
直方晶系
危険性
労働安全衛生 (OHS/OSH):
主な危険性
刺激性
GHS表示:
Warning
H318
P280, P305+P351+P338, P310
引火点 不燃性
致死量または濃度 (LD, LC)
6600 mg/kg (経口, ラット)[2]
安全データシート (SDS) External MSDS
関連する物質
その他の
陰イオン
セレン酸カリウム
テルル酸カリウム
その他の
陽イオン
硫酸リチウム
硫酸ナトリウム
硫酸ルビジウム
硫酸セシウム
関連物質 硫酸水素カリウム
硫化カリウム
亜硫酸水素カリウム
過硫酸水素カリウム
特記無き場合、データは標準状態 (25 °C [77 °F], 100 kPa) におけるものである。
N verify (what is  N ?)

硫酸カリウム(りゅうさんカリウム、potassium sulfate)は化学式 K2SO4無機化合物である。硫酸カリ硫加(リュウカ)とも呼ばれる。不燃性の白色結晶塩で、水には溶けるがアルコールには溶けない。天然にはアルカナイトとして存在するが、これは存在度の低い鉱物である。工業的には塩化カリウム硫酸と熱するか、キーゼリット(硫酸マグネシウム鉱石)と塩化カリウムの複分解によってつくる。カリウム硫黄を提供することから、化学肥料として広く使われている。

歴史

14世紀初期の時点で硫酸カリウムは発見済みであった。当時、グラウバーボイルやタケニアスが検討している。17世紀、酸性塩とアルカリ塩の混合物としてarcanuiあるいはsal duplicatum と名付けられていた。医薬品としてグラゼルが調合・処方して以降はvitriolic tartar and Glaser's saltやsal polychrestum Glaseriとしても知られていた。

用途

ミョウバンの原料とされ、またカリ肥料として重要である。吸湿性は低く保存や配合時に取り扱いやすいという利点がある[3]。配合肥料のカリウム源としてよい。土壌酸性化の度合は塩化カリウムより低い。

淡灰白色-淡黄白色の結晶で、肥料として日本で使用されている硫酸カリウムは、水溶液性カリ K2O を48-50%を含有[4](カリウム保証成分 50 %)する物がほとんどである。一方、塩化カリウム(略称 塩加、エンカ)はカリウム保証成分 60 % のものが主流である。

化学肥料のカリウム源としては、硫酸カリウムと塩化カリウムがほとんどである。他にもサルポマグ(硫酸カリ苦土)、水酸化カリウム硝酸カリウム炭酸カリウム草木灰における主なアルカリ分)などが使用されるが、価格が高いため、化学肥料としては使用量が少ない。

硫酸カリウムは塩化カリウムよりも高価である(成分価で 10 % 程度)。しかし、畑作物に使用した場合、肥料としての効果が塩化カリウムと比べると優れており(イモにおいては塩化カリウムの様に筋っぽくならない等)、農家での使用が多い。カリウム源としては、硫酸カリウムと塩化カリウムに差は無いが、複塩として含まれる硫酸イオン塩化物イオンは作物に対しての効果が異なる。硫酸イオンは、それ自体が肥料成分として作物に吸収利用される。塩化物イオンは肥料成分としての効果は期待できない。特に葉たばこ用の肥料としては塩化物イオンは嫌われるので(塩化物イオンがたばこの葉に多いと火のつきが悪くなる)たばこ用の肥料は硫酸カリウムが用いられる。

硫酸カリウムを原料に使用した肥料は塩化カリウム肥料より高価であるため、硫酸カリウム使用ということ自体が商品のセールスポイントになる。肥料名が『○○化成 S○○○』となっていた場合、肥料名のSは硫酸カリウム使用であることを示す。

脚注

  1. ^ Pradyot Patnaik. Handbook of Inorganic Chemicals. McGraw-Hill, 2002, ISBN 0070494398
  2. ^ Chambers, Michael. “Potassium sulfate RN: 7778-80-5”. ChemIDplus. United States National Library of Medicine. 2025年10月27日閲覧。
  3. ^ 塘隆男「カリ肥料」『新版 林業百科事典』第2版第5刷 p112 日本林業技術協会 1984年
  4. ^ 塘隆男「カリひりょう」『新版 林業百科事典』第2版第5刷 p112 日本林業技術協会 1984年(昭和59年)発行

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