皮脂の構成成分
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/10/07 18:28 UTC 版)
皮脂は、大部分がトリグリセリド、ワックスエステル、スクアレンから構成される。前ふたつは、皮膚常在菌の酵素によって一部が加水分解される。 分泌された皮脂に含まれるのは、脂肪酸、ワックスエステル、ステロールエステル(英語版)、コレステロール、コレステロールエステル(英語版)、およびスクアレンとなる。皮膚の常在菌によってジグリセリド、モノグリセリド、構成遊離脂肪酸へと分解される。脂肪酸の内訳では、飽和脂肪酸より不飽和脂肪酸の方が多く、特に炭素が16個か18個の、ステアリン酸、オレイン酸、リノール酸、パルミチン酸、サピエン酸、パルミトレイン酸。 皮膚の常在菌のマラセチア(酵母様真菌)は増殖時にトリグリセドと飽和脂肪酸を利用し、不飽和脂肪酸へ、とりわけオレイン酸へと変える。脂漏性皮膚炎の人々では、変化した脂肪酸に対して炎症反応を起こしていると考えられる。 皮脂の組成について個人差により偏りも大きいが、日本では冬から春にかけて遊離脂肪酸がトリグリセリドの量を上回る傾向にある。 毛穴に詰まっている角栓の構成成分としては、脂質はトリグリセリドが少なく遊離脂肪酸が多く、角質層にはないアクネ菌由来のタンパク質と炎症に関わるタンパク質が検出されるため、皮膚上の細菌によってトリグリセリドが分解されてできた遊離脂肪酸だと考えられ、この脂肪酸が毛穴の角質細胞を成長させて剥離され、皮脂と混ざることで角栓となっている。 ヒトの皮膚から採取した汗腺や皮脂腺からの分泌物の脂肪酸の構成成分として、パルミチン酸が30-40%ともっとも多く含まれていた。皮脂として分泌された成分のうち、トリグリセリドが細菌の出すリパーゼによって部分的な加水分解を受け、遊離脂肪酸が生成され、皮膚表面ではパルミチン酸が最も多くなるがラウリン酸やサピエン酸も含まれている。このラウリン酸にはグラム陽性菌に対し強い抗菌作用を持ち、またサピエン酸も黄色ブドウ球菌に殺菌作用がある。 皮脂の変化 皮脂分泌マラセチア曝露後抗真菌薬使用後トリグリセリド 35%以下 18% 32% 遊離脂肪酸 13%以上 32% 16% ワックスエステル 25% 23% 25% スクアレン 15% 同 同 コレステロールとコレステロールエステル 7% 同 同 ほか 5%未満 同 同
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