百万塔陀羅尼とは? わかりやすく解説

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百万塔陀羅尼

読み方:ヒャクマントウダラニ(hyakumantoudarani)

奈良時代百万塔収められ陀羅尼


百万塔陀羅尼

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/03/13 06:57 UTC 版)

百万塔陀羅尼(ひゃくまんとう・だらに)は、奈良時代に制作された、100万基の木製小に、陀羅尼経を納めたものである。陀羅尼は、制作年が明確である、世界最古の現存印刷物である。


注釈

  1. ^ 「(宝亀元年四月二十六日)戊午、初め、天皇(すめらみこと)八年の乱平(たひら)きて乃ち弘願(ぐぐわん)を発(おこ)して、三重(さむぢう)の小塔(せうたふ)一百万基を造らしむ。高さ各(おのおの)四寸五分、基の径(わたり)三寸五分。露盤の下に各根本・慈心(じしむ)・六度等の陀羅尼を置く。是(ここ)に至りて功(くう)畢(をは)りて、諸寺(てらでら)に分(わか)ち置く。」[1]
  2. ^ 『東大寺要録』本願章天平宝字八年九月十一日条、諸院章第四「東西小塔院」に、「十大寺」に分置されたとある。『拾芥集』(藤原公賢撰。14世紀)下巻「本」第九諸寺部の十大寺 延喜十七年(917年)丁「丑」の条に、「大安寺 元興寺 弘福寺 薬師寺 四天王寺 興福寺 法隆寺 崇福寺 東大寺 西大寺」と記されている。『類聚三代格』(平安初期)巻三の延暦十七年(798年)六月の太政官符には『拾芥集』十大寺に法華寺を加えている。[2]より孫引き。
  3. ^ 青木らは、崇福寺ではなく、西隆寺をあげる[3]
  4. ^ 湯浅は、元興寺『七大寺巡礼私記』に「八万四千」と記されていることを指摘し、内裏に納められた分もあり、一律に十寺に十万ずつ奉納されたとは言えないとする[4]
  5. ^ 『南都七大寺巡礼記』(1452年・享徳元年)元興寺の条、『薬師寺縁起』西院の条、『太子伝古今目録抄』(1227年・嘉禄3年)大同縁起の条、『興福寺流記資財帳』東院の条、『東大寺要録』東西小塔院の条、『西大寺縁起資財帳』(鎌倉時代)堂塔房舎の条。[2]より孫引き。
  6. ^ 東京国立博物館蔵の48基、個人蔵の2基、計50基を計測した平均値[6]。『続日本紀』での「基の径三寸五分」は正しく、「高さ各四寸五分」は、塔身のみの値と分かる。
  7. ^ 読み取れた9基の年紀は、天平神護3年(767年)から神護景雲3年(769年)の間であり、『続日本紀』の記述と合致する。
  8. ^ 現存する包み紙には、「一」「二」「三」の墨跡がある。写真参照[14]
  9. ^ 「根本陀羅尼法」「相輪中陀羅尼法」「修造仏塔陀羅尼法」「自心(慈心)印陀羅尼法」「大功徳聚陀羅尼」「六波羅(六度)蜜陀羅尼」
  10. ^ 肉筆の経巻も4巻確認されている[18]
  11. ^ 勝村は、京都大学附属図書館所蔵及び天理大学図書館所蔵の陀羅尼において、経文中に二段に割れるひずみが見られる点や、料紙の上下に見られる墨跡から、銅版輪転機の使用を推察している[19]
  12. ^ 国史編纂委員会編(1996)『韓国古代金石文資料集III 統一新羅・渤海編』pp.140-152.[22]より孫引き。
  13. ^ 「(前略)皇福寺石塔金銅舎利函銘「神龍二年丙午五月卅日 今主大王仏舎利四全金弥陀像六寸一躯無垢浄光大陀羅経一巻安置石塔第二層(後略)」[注釈 12]

出典

  1. ^ 青木 1995, p. 281.
  2. ^ a b 中根 1987, pp. 9–11.
  3. ^ 青木ほか 1995, p. 540.
  4. ^ 湯浅 2005b, p. 230.
  5. ^ a b 井上 2001, p. 24.
  6. ^ 成田 1980, pp. 115–117.
  7. ^ 成田 1980, pp. 117–122.
  8. ^ 平子 1908, pp. 14–15.
  9. ^ 湯浅 2005a, pp. 61–62.
  10. ^ 湯浅 2005b, p. 229.
  11. ^ 井上 2001, p. 25.
  12. ^ なぶんけんブログ(105)平城宮と百万塔 (読売新聞(奈良県版?)2015年5月31日掲載)”. 2020年3月28日閲覧。
  13. ^ a b c 宍倉 2011, p. 310.
  14. ^ 宍倉 2011, pp. 311、314.
  15. ^ 湯浅 2005b, p. 220.
  16. ^ 勝浦 2006, p. 3.
  17. ^ 湯浅 2005b, p. 221-223.
  18. ^ 青木 1995, p. 540.
  19. ^ 勝村 1998, p. 2.
  20. ^ 中根 1987, pp. 41-46、68-71.
  21. ^ 勝村 1998, p. 3.
  22. ^ a b 勝浦 2006, p. 16.
  23. ^ 平子 1908, pp. 12.
  24. ^ 李 1968, p. 458-462、471-474.
  25. ^ 笹山ほか 2012, p. 60.


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