発生と広がり
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/12/11 02:58 UTC 版)
19世紀イギリスでは、スエズ運河の開通や、アルプス山脈のモン・スニー・トンネル開通などの交通網の発達により観光の人気が高まり、またリヴィングストンによるアフリカ大陸探検や、リヒトホーフェンの中国地質調査といった地理学上の発見、北極・南極探検などへの関心が、ロンドン万国博(1851年)の影響もあって高まりつつあった。その中で人気を集めたL.R.スティーヴンソン『宝島』(1883年)に影響を受けて、ヘンリー・ライダー・ハガードが書いたアフリカ奥地を舞台にした冒険小説『ソロモン王の洞窟』(1885年) が、秘境冒険小説の起源とされることがある。ハガードは続いて、同じアラン・クォーターメンを主人公とするシリーズや、中央アフリカで不死の女王に出会う『洞窟の女王』などを発表した。 フランスではジュール・ベルヌ『気球に乗って五週間』(1863年)や、『地底旅行』(1864年)など科学の可能性を強調した冒険小説に人気があった。ドイツではカール・マイが1876年から近東、南米、北米、東洋などを舞台にした異国趣味溢れる冒険小説を数多く書いて、国民作家と呼ばれるほどの人気となった。 古生物学への興味から書かれたコナン・ドイル『失われた世界』(1912年)は、南米の奥地に恐竜の生き残りがいるというアイデアの秘境冒険ものであり、以後この種の作品は「ロスト・ワールド」ものと呼ばれるようになった。ドイルはハガードとを意識して歴史小説を書いたが、二人とも「イギリスの騎士道精神を基調にしている」ことで共通していた。またこの後、エドガー・ライス・バローズの『時間に忘れられた国』(1918年)や、エイブラハム・メリットの『ムーン・プール』(1918年)なども書かれた。『失われた世界』は1915年に映画化もされ、1933年には南洋の孤島を舞台にした映画『キング・コング』も公開された。
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