異本・印刷本・翻訳
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/02/09 04:27 UTC 版)
通常版の『アピシウス』とは、全く違った写本がある。抜粋本「有名なヴィニダリウスによるアピーキウスからの抜粋」(APICI EXCERPTA A VINIDARIO VIR INLV(S)T)である。カロリング朝ルネサンス期以後、即ち8世紀に書かれた写本でパリ国立図書館の写本集 Parisinus latinus 10318 に収録されている。しかし、タイトルとは裏腹に、この小冊子は今日我々が目にする『アピシウス』から抜粋した物でない。しかし、共通する料理もあり、なんらかの関係がある異本である。 現存する通常版の『アピシウス』を校訂・出版した物としては、1498年にミラノで発行された本と、1500年にヴェネツィアで発行された本の2つがある。これ以降の4世紀間に、多くの校訂版が出版された。1867年にハイデルベルクでC. T. Schuch によって出版された校訂版では、通常版の他にヴィニダリウスの抜粋も含まれていて、長い間、定評のある決定版とされた。 1498年(即ち、ミラノで出版された1回目の校訂版)から1936年(ジョセフ・ドマーズ・ベーリングの訳及び著書がなされた校訂版の刊行年)までの間に、『アピシウス』は14回ものラテン語版の校訂本が出版なされた(他に1回、典拠が怪しいが改訂された物もあり)。しかし、他の言語に翻訳される事がなかったが、1852年に初めてイタリア語版が出版された。20世紀に入るまでに、ドイツ語版とフランス語版も出版された。 ベーリングは1936年に英語版で初めて出版し、タイトルは『Cookery and Dining in Imperial Rome』であった。1977年にドーヴァー出版より出版されている。しかし、これは現在では歴史的な興味に留まっている。なぜなら、ベーリングのラテン語の知識は完全な翻訳を行えるほどではなかったこと、さらに、ベーリングの本が世に出てより後に、より実用的な翻訳本が世に出されたからである。1978年にミュラ・ヨコタ 宣子による、日本語訳が出版されている。
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