甲殻類と軟体動物
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/16 07:34 UTC 版)
貝、エビやカニ、イカ、タコといった魚類以外のほとんどの海産物は水中に住んでいるが、鰭と鱗を持たないため、ユダヤ教とキリスト教とイスラム教の一部の教派によっては食べることを禁止されている。キリスト教の正教では大斎が長く、この期間中魚肉の摂取が禁止されるため、地中海付近ではイカやタコを使った料理が発達している。 香港などで美味な食材として扱われているシマイシガニは、甲羅に十字架に似た模様がついているため、キリスト教徒は食べるのを恐れる。 イカやタコは、食べることを禁止されていなくても、これらを食用とする地域は東アジアとイタリアやスペインなど地中海沿岸、およびラテンアメリカの沿岸部に限られている。特にタコはかつて「悪魔の魚」と呼ばれて嫌われていたこともあり、北ヨーロッパの現地料理ではほとんど見られない。しかし最近では寿司が日本国外でも普及していることにより、イカやタコもアメリカなどで普通に食されることが多くなっている。 日本においてもイカやカニのタブーがなかったわけではなく、上泉信綱伝の『訓閲集』(大江家の兵法書を改良)巻六「士鑑・軍役」において、武家が軍中において禁食していることとして、「イカ、スルメ、カニ、トビウオ(ケガの際、血が止まらなくなるとの理由)、またイノシシ、シカなどの諸肉を軍神が嫌う」ため禁じている(タブーとしている)と記述している。 オーストラリアでは「食物を苦しませずに殺す法律」があり、ロブスターやエビといった甲殻類でも調理するときには、即死するように脊髄からさばくことが定められている。生きているそれらをそのまま焼いたり茹でたりするのは厳禁とされている。 台湾・蘭嶼のタオ族は、乳児のいる女性はヒザラガイを食べてはいけないとする。
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