生産性 (言語学)
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/01/19 02:04 UTC 版)
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生産性(せいさんせい、英語: productivity)という用語は、言語学において、次の2つの意味で使われる。
- 言語の生産性。人間の言語に見られる、新しい言語表現を際限なくいくらでも作れる性質。創造性 (creativity) ともいう。
- 文法項目の生産性。規則や構文といった文法項目が適用できる範囲の広さ。生産性の低いものが限られた語彙項目にしか適用できないのに対し、生産性の高いものはより多くの項目に適用可能である。
この項では主に文法項目の生産性について扱う。
概要
生産性の研究は主として形態論の分野でなされてきたが、統語論にも当てはまると考える学者もいる[1]。
生産性を決定する重要な要因の1つがタイプ頻度であることについては同意が得られている[1]。例えば、日本語の「暖かさ・厚さ・冷たさ・薄さ」などを構成する「〜さ」という形態素・構文はあらゆる形容詞(また多くの形容動詞)に適用可能であり、生産性が高い[2]。一方で「暖かみ・厚み」などの「〜み」が適用できるのは一部の形容詞に限られており、生産性が低い(「*冷たみ・*薄み」などは許容されない)[2]。この場合、あるコーパスに現れる「〜さ」という語のタイプは「〜み」のタイプに比べて色々な種類があると予想される[2]。
生産性は歴史的に大きく変化する場合がある。例えば上代日本語では述語を名詞化する方法として「ク語法」がほぼ全ての述語に適用可能であったが、ク語法はその後生産性を失い、「思惑」「老いらく」などの名詞、「恐らく」「願わくは」などの副詞として痕跡的に残るのみとなった[3]。連体形をそのまま名詞的に用いる方法もあったが現代では廃れ、「こと」「の」を接続する方法が普通となっている。逆に明治以降に音訳として作られた「的」は、様々な場合に適用されて形容動詞の重要な構成方法となった。
脚注
- ^ a b Bybee 2010, p. 95.
- ^ a b c 白井聡子「生産性」『明解言語学辞典』三省堂、2015年8月20日。ISBN 978-4-385-13578-6。
- ^ 向井克年「再分析と句包摂からみた『万葉集』と八代集のク語法比較」『福岡大学日本語日本文学』第31号、2022年2月、108-118頁、2025年1月19日閲覧。
参考文献
- Bybee, Joan (2010). Language, Usage, and Cognition. Cambridge University Press
関連項目
「生産性 (言語学)」の例文・使い方・用例・文例
- 全要素生産性
- エンパワーメントリーダーシップによって、更なる創造性や生産性が期待されうる。
- 組織生産性を高めるためには、よい管理職が必要だ。
- 当社の付加価値生産性は高い。
- 業務の効率性と生産性を向上させるため、当社は設立以来、分業の理論を実践してきた。
- 当社は労働生産性の向上によりコスト削減の実現を目指す必要がある。
- 彼らが要求している生産性向上にはつながらないが、経費削減はできる。
- 低最生産性に苦しむ。
- あなたは自分の生産性を強化すべきだ。
- 私達は生産性を改善するために工場を近代化しなければならない。
- それは生産性がよくない。
- それは生産性が悪い。
- その機械は生産性が高いと思います。
- それは生産性が高いと思います。
- 業務効率の改善を進めたために、生産性を3倍に上げることに成功しました。
- 時短を徹底すれば、労働コストを上げずに生産性を向上させることができます。
- 労働生産性の低下がここ数年の減益に大きく影響しています。
- 製造業に比べて大きく遅れをとっている非製造業における生産性向上、それも設備投資の活性化により内外価格差の是正と成長力を確保するというのがベストシナリオだ。
- 生産性をあげるため新たなツールを探してます。
- 生産性はオートメーションの徹底によって向上する。
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