生物学と関連する分野
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/07/11 14:24 UTC 版)
生物学は、さまざまな形で他の学問分野と関係している。概念、理論、研究手法などの面で生物学に影響を与えた自然科学の分野としては、先に発展していた物理学と化学が挙げられる。特に分子生物学以降は物理学の影響が強い。生化学や生物物理学などはこれらの境界領域の分野と言える。応用科学では医学における生化学や生理学、解剖学は、動物学や発生学と関連し、農学における育種学は遺伝学の誕生に寄与し、その過程で近代的な推測統計学を醸成した。また、数学は自然科学の基礎として生物学に影響を与えているほか、特に数理生物学や集団遺伝学などでは高度に数学的な概念、分析手法が用いられる。 近年では、ゲノムやプロテオームの解析から得られる膨大なデータを処理する必要があるため、バイオインフォマティクス(生物情報学)と呼ばれる分野では情報学の方法論が取り入れられ、ゲノミクスやプロテオミクスで用いられている。また、生命現象をシステムとして理解することを目的とするシステム生物学が発展しつつある。 生物学と相互に影響しあっている分野も数多い。生態学は理論面で経済学と強い関連があり、地球科学と観測技術を共有している。これらの影響は、一方通行ではなく相互的である。 人文科学系の分野の中では、自然哲学の一分野である生物哲学、方法論としては科学哲学、倫理面を研究する生命倫理学などが生物学と対象を共有している。科学史の一分野である生物学史は、生物学の歴史が研究対象である。 生物学から多くの影響を受けた分野に、理論社会学や社会思想がある。ダーウィンと同時代に生き、適者生存などの語の発案者でもあるハーバート・スペンサーや、エミール・デュルケームは、社会の変化、特に分業の発達と構成要素の多様化を生物進化になぞらえて考察する理論を打ちたてた。彼らの学問は社会学の中でも多く知られているが、スペンサーを除けば、生物学から影響を受ける量が多く、生物学への影響は限られている。また、生物をメタファーとして社会を説明する理論にはほかに、マーシャル・マクルーハンによるメディア論や梅棹忠夫による情報産業論など、広く知られたものが多くある。 システム理論やサイバネティックスは、生物学による生命体の理解を手がかりに、秩序や変化についての一般理論を構築している。これは社会学にも社会システム論として影響を与えている。
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