生体内糖化反応
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/12/28 14:56 UTC 版)
生体内糖化反応は主に血液中に吸収されたグルコース、フルクトース、ガラクトースなどの単糖を用いて行われる。このうちフルクトースとガラクトースは、グルコースに比べて約10倍も糖化反応に使われやすい。糖化反応は、これらの分子が後に受けることになるアマドリ転位反応、イミノ転位反応、メイラード反応など複雑な反応の第一段階となる。生成物の中には害のないものもあるが、反応性が高く、老化現象の主原因として、アンチエイジングの観点から注目されるようになってきている。糖尿病、心臓病、アルツハイマー病、癌、末端神経障害、難聴、失明などの原因となるものもある。病気の種類が広範に渡るのは、糖化反応がきわめて基礎的なレベルで分子と細胞の関係を阻害し、過酸化水素などの強い酸化剤を生成するからである。 糖化された物質は体内からゆっくりと排出され、糖化生成物の半減期は細胞の平均寿命の約2倍にもなる。赤血球細胞は体内で最も短い寿命で約120日であり、糖化生成物の半減期は240日である。このため、血中の糖化されたヘモグロビン(HbA1c)の濃度を観察することにより糖尿病患者の血糖管理状態を把握することができる。逆に、神経細胞など寿命の長い細胞、コラーゲンのように寿命の長いタンパク質やDNAではダメージが長時間蓄積される。また腎臓の糸球体、目の網膜細胞、ランゲルハンス島のβ細胞など代謝の活発な細胞でも、ダメージが蓄積しやすい。さらに血管の上皮細胞は糖化によって直接傷つけられ、冠動脈の入り口など血流の多い場所にアテローム性動脈硬化症などを引き起こすこともある。 以上のようにさまざまな疾患の原因となり、健康維持と深い関わりを持つ現象であるため、抗糖化ケアという言葉も生まれている。
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