現実に日本列島が沈没する可能性
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/08/13 00:43 UTC 版)
「日本沈没」の記事における「現実に日本列島が沈没する可能性」の解説
地球物理学者の上田誠也は、『中央公論』1973年7月号に掲載された小松との対談において、量子力学上のトンネル効果を援用したところが日本を沈没させるための「トリック」であることを指摘しており、小松もそのことを認め、「あれ[トンネル効果]がないと、日本列島だけ沈んでくれないんですよ」と述べている。 日本列島の土台は複数のプレートの運動によって形成された付加体である。これは大陸側のプレートと太平洋側のプレートの衝突によって、海洋プレートの上の堆積物が押し上げられる形で隆起したものである。よってこのプレートの動きが変わらない限り日本列島が沈没することはなく、むしろ沈下ではなく隆起している。実際にプレートの動きが変わっても完全に沈没するまで100万年以上かかると計算されており、差し迫って沈没時のための準備や心配、対策などをする必要はないとされている。 また、入舩徹男・愛媛大学教授は、『ネイチャー』2008年2月14日号に発表した論文で、地表から地中に沈下したプレートは、地下600キロ前後で滞留しそれ以上は沈下しないとしている。 2006年版の映画において使用された「プレート」を爆破して沈没を防ぐというアイディアも、現実科学的にはありえない。これは、マグニチュード5.25クラスの地震でも、史上最大級の核爆発による人工地震に相当しており、日本列島を沈没させるプレート幅は余裕で1000kmを上回る。これを破壊するためには、マグニチュード10クラスの地震を引き起こすだけのエネルギーが必要であり、その量はTNT換算で150億トンにも達するためである(日本最大の巨大地震として知られる「東北地方太平洋沖地震」がマグニチュード9で、40分の1の規模)。 上記のことは作者の小松も承知していることであり、作品中でも示唆されている通り「日本沈没」は「何十億年に一度かの天変地異が今起こったら?」という、あくまでも仮定の話である。仮定が現実となった場合であっても天変地異が日本列島のみに限定されることや、僅か数年の前触れだけで起こることは、まずあり得ない。日本周辺からプレートの繋がる各大陸での地殻変動、環太平洋地域の諸国への巨大津波来襲など世界規模の大災害につながるであろう。
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