現実におけるガリアンソード
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/07 03:45 UTC 版)
「ガリアンソード」の記事における「現実におけるガリアンソード」の解説
剣と鞭の特性を兼ね備えた武器であるが、現実にこうした構造が成功した例は歴史上これまでには存在しない。 類似した武器には、インド武術のカラリパヤットで用いられる軟鋼で作られた鞭状の刀身を持つ長剣「ウルミ」がある。これは肉を切り裂くのに十分な鋭さを持っているが、タイトコイルのように巻きつくのに十分な柔らかさはなく、直剣状に固定できないことから刺突もできないため、片手で鞭のようにふるって刃を相手に当てることで斬るという使い方である。インドの伝統武術ではウルミのような「斬れる鞭」が古代から存在しておりラーマーヤナなどの叙事詩にも登場する。インド武術のガッカでは「Aara」と呼ばれる竹製の平たい鞭があり、刺すことは出来ないが両側面が斬れるようになっている(ウルミのような軟鋼製もある)。東南アジアにも類似した武器が存在しており、スリランカの伝統武術であるアンガンポラでは『Ethunu Kaduwa』と呼ばれる短いウルミを束ねたバラ鞭のような武器を両刀で使う。このような剣は英語では「コイルソード(Coil Sword)」「フレキシブルソード(Flexible Sword)」と呼ばれている。 中国大陸には、穴のある硬貨を紐で繋ぎ合わせて剣の形にした「銭剣」と呼ばれる魔除けの道具があり、ガリアンソードと似た形状を持つものの、実戦用の武器ではない。中国の妖怪退治を題材としたフィクション作品ではキョンシーと戦う武器として描かれることもあり、1985年の香港映画『霊幻道士』では銭剣を分解して縄とし相手を縛り上げているシーンがある。 棍棒から多数の節を持つ形態に分割・結合できる多節棍・多節鞭などは、刀身を持たない打撃武器であるが、扱う際の動きがフィクションにおいてガリアンソード状の武器の動きを再現するための参考にされた例がある。また、フィクション上にガリアンソード状の武器を登場させるため、動きを検証したりモーションキャプチャーしたりする目的で、人間が振り回せる大きさで殺傷能力のない模型が作られた例もある。 ガリアンソードの発想のモチーフのひとつとなった自転車用のローラーチェーンは、武器として扱うことは難しいが携帯に便利で、威力はあるにしてもナイフと異なり意図しない致命傷を負わせてしまうリスクが少ないといった理由から、高橋の故郷の不良の間では喧嘩の武器として人気があったという。
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