現存する伎楽面
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2019/05/30 05:17 UTC 版)
伎楽面は日本への伝来元である中国や朝鮮半島には現存せず、日本にのみ残されている。そのうち飛鳥・奈良時代に遡る伎楽面の遺品は以下のところにまとまって所蔵されている。 正倉院 171面(木造135、乾漆造36) 東大寺 30面(木造29、乾漆造1)と残欠7面分(木造4、乾漆造3) 東京国立博物館法隆寺宝物館 31面(木造28、乾漆造3) 正倉院、東大寺ほかに残る230余りの面が8世紀の遺品であるのに対し、東京国立博物館法隆寺宝物館に残る31面はその半数以上が7世紀に遡るものと思われる。これらの31面は、1878年(明治11年)に法隆寺から当時の皇室へ献納されたもので、時代や技法の異なるものが混在している。 正倉院蔵の面のうち24面には天平勝宝四年(752年)四月二十九日の墨書銘があり、同日に行われた東大寺大仏開眼会にて奉納された伎楽に用いられたものであることがわかる。正倉院および東大寺所蔵の面には作者名を記したものがあり、将李魚成、基永師、延均師、財福師などの作者の名が知られる。また面の裏面に「讃岐」「常陸」などの国名がみられ、地方から献納されたものであることがわかる。 上記のほか、重要文化財に指定されている伎楽面として以下のものがある(鎌倉時代の復古作は除く)。 法隆寺所蔵 木造伎楽面1面(太孤父) 文化庁保管 木造伎楽面1面(酔胡従)東大寺大仏開眼会所用、2014年重要文化財指定(旧重要美術品)。 文化庁保管 乾漆伎楽面1面(金剛)東大寺大仏開眼会所用、2015年重要文化財指定。 藤田美術館所蔵 木造伎楽面1面(力士)、乾漆伎楽面1面(酔胡従、相李魚成銘)東大寺大仏開眼会所用、2015年重要文化財指定。 2006年には天理大学附属天理参考館(奈良県)にある古面が伎楽面であると確認された。これは松平定信らが編纂した『集古十種』所収の図と細部の特徴が一致しており、もとは東大寺にあった伎楽面と推定される。
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