特性・効果
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/07/15 07:05 UTC 版)
完全導電性 電気抵抗がゼロとなるので、一度流れ始めた直流電流が電圧降下なしに永続するという効果。回路のすべてを超伝導体で構成すれば、流れ続ける電流によって永久電磁石となる。コイル状の超伝導体回路に大電流を与えれば、他では得られないほど強力な磁場が得られる。 マイスナー効果 マイスナー効果は完全反磁性とも呼ばれ、超伝導体内部が磁場を排除して内部磁場をゼロにする効果である。超伝導体を磁石上で常伝導状態から徐々に冷やしていったとき、転移温度を超えた瞬間に浮き上がる「磁気浮上」現象もこの効果によるものである。これは超伝導によって磁束の侵入が排除されたために、物体が浮き上がるものである。単に「超伝導体の上に磁石が浮く」というだけでは、永久電流による反発かマイスナー効果によるものかの判断はできない。 磁束の量子化 超伝導体内部を通る磁束は h 2 e {\displaystyle {\frac {h}{2e}}} の整数倍のとびとびの値をとる。(h はプランク定数、e は素電荷)(磁束#磁束の量子化を参照) ジョセフソン効果 絶縁体を間に挟んだ2つの超伝導体間を、電圧降下なしにトンネル電流が流れる。2つの超伝導体の間に挟まれた絶縁体には超伝導状態を表す波動関数の位相差に比例した電流が流れる。ミクロな波動関数という概念をマクロに観測できるため超伝導を象徴する現象である。(ジョセフソン効果を参照のこと。) 磁束格子状態 第二種超伝導体では、その超伝導体に固有の磁場値(下部臨界磁場)以上の磁場を印加した場合では量子化した磁束が超伝導体内部に侵入する。この状態は混合状態とも呼ばれる。磁束格子状態のときに磁束コア同士は互いに反発するため、多くの場合に最密構造、つまり三角格子を形成する(フラストレーションを参照)。ただし、フェルミ面の形状などによって四角格子を組む場合もあることが最近の研究から知られている。 ピン止め効果 磁束格子状態において、外部磁場の変化に対して磁束格子が追随して変化しない現象をピン止め、あるいはピン止め効果と呼ぶ。実用超伝導体において重要な現象。この現象がなければ実質的に超伝導体に電流が流せないため実用化ができなくなる。ひずみや不純物などの欠陥を多く含む非理想的な第二種超伝導体を貫く磁束は、これらの欠陥に引っかかり止められて動けない。(ピン止め効果を参照のこと。) 臨界磁場の存在 一定以上の強度の磁場を加えることで超伝導状態は消失する。第二種超伝導体には、この意味での臨界磁場(上部臨界磁場 Hc2 と呼ぶ)と完全反磁性状態から磁束格子状態への転移を意味する下部臨界磁場 Hc1 が存在する。(臨界磁場を参照のこと。) 比熱の異常 超伝導への相転移は二次の相転移であり、常伝導状態と超伝導状態の間には比熱の“とび”が存在する。 クエンチ 超伝導電磁石において超伝導コイルの一部が超伝導状態から常伝導状態に戻ることを「クエンチ」(英: quench) と呼ぶ。これに続いて全面的な常伝導化が一気に進むので、電気的、磁気的、熱的、機械的に大きな変化が同時に起こる。 エネルギーギャップの存在(→BCS理論) 同位体効果
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