物質世界の基盤のモデルとしてのCA
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/03/03 07:32 UTC 版)
「セル・オートマトン」の記事における「物質世界の基盤のモデルとしてのCA」の解説
詳細は「デジタル物理学」を参照 Andrew Ilachinski は著書 Cellular Automata で、多くの学者が宇宙自体がセル・オートマトンなのではないかという疑問を投げかけていると指摘した。Ilachinskiは、この問題の重要性を示すには簡単な観察をしてみるのがよいと主張し、例えばルール110(英語版)の発展するパターンをどうやったらうまく説明できるか考えてみるのがよいとした。そして、もしそのイメージの生成方法を知らないとしたら、何らかの粒子状のオブジェクトの運動の軌跡ではないかと推測するだろうと述べている。実際、物理学者 James Crutchfield はその考え方から厳密な数学的理論を構築した。この考え方を推し進めていくと、素粒子物理学で説明されている我々の世界も根底ではCAと見なせるのではないかという考え方に到達する。 その考え方に沿った理論はまだ発展途中だが、この仮説に興味を惹かれた学者らが離散的フレームワークで世界を理解することについて興味深い憶測と有益な直観を示している。AI研究者マービン・ミンスキーは、4次元CA格子で素粒子の相互作用を理解する方法を研究した。コンピュータの先駆者コンラート・ツーゼは、素粒子の持つ情報についての問題を解くため、不規則な格子を考案した。またエドワード・フレドキンは "finite nature hypothesis" と名付けた仮説を提唱。「最終的に時間や空間を含む全ての物理量は離散的で有限だと判明するだろう」とした。フレドキンとウルフラムはデジタル物理学の信奉者である。 21世紀に入ると、非標準計算についての著作からこの考え方に沿った示唆が生まれている。ウルフラムの A New Kind of Science では、CAが物理学を含めた様々な主題を理解する鍵だとしている。(Francesco Berto が創始し、Gabriele Rossi と Jacopo Tagliabue が発展させた)iLabsが2010年に出版した Mathematics Of the Models of Reference では「菱形十二面体」をベースとする格子と独特の規則で2次元および3次元の宇宙を説明するモデルを提案している。このモデルはチューリングマシンと等価であり、完全な可逆性を有し(様々な量を保存し、情報を決して失わない)、宇宙の発展についての質的な論述を計算できる論理が組み込まれている。
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