牝馬クラシック二冠
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/14 06:36 UTC 版)
「ベガ (競走馬)」の記事における「牝馬クラシック二冠」の解説
1月9日、京都競馬場の新馬戦でデビュー。鞍上は松田厩舎所属の若手騎手・橋本美純が務めた。レースは先行策から直線ゴール前で他馬に突き放され、2馬身半差の2着となったが、実質一回の調教での臨戦だったことから、陣営は却って期待を高めた。次走も橋本が騎乗する予定だったが、2戦目を前にした調教に遅刻したことで橋本は降板させられ、松田は「天才」の異名をとる武豊に騎乗を依頼し、これを了承された。2戦目は2番手追走から直線で抜け出し、2着に4馬身差をつけて初勝利を挙げた。武はその走りに強い印象を受け、松田に「この馬、オークス勝ちますよ」と話したという。 初勝利のあと、左前脚に異常を来たす。松田はベガについて2400メートルで行われるオークスに向いた馬で、1600メートルの桜花賞は距離が短すぎると見ていたことから、オークスを目標とすることも考えていたが、その後状態が良くなり、ベガは桜花賞トライアルのチューリップ賞に出走することになった。1勝馬ながら、競走当日は前年の3歳女王スエヒロジョウオーなどを抑え1番人気に支持された。レースでは最終コーナーで早々に先頭に立つと、直線では後続を突き放し、3馬身差で勝利を挙げた。レース後に武は「この距離でこの勝ち方ですから、本番でもかなり有力でしょうね」とコメントし、桜花賞への自信を覗かせた。 桜花賞に向けては日に日に調子が上がり、競走前の最終調教では坂路コースで51秒2という際立ったタイムを計時した。4月11日の桜花賞当日は、単勝オッズ2.0倍の1番人気に支持される。スタートが切られるとベガは逃げ馬を見ながら3番人気のヤマヒサローレルと並んで2番手を進むが、最後の直線に入ってすぐ先頭に立った。ゴール前ではユキノビジンとマックスジョリーの2頭が追い込んできたが、前者をクビ差退けて勝利。牝馬クラシック初戦を制した。島田明宏によると、武に対して「これまでのキャリアの中でのベストレースは?」と聞くたびに武はこの桜花賞を挙げるといい、武曰く、「レース前に思い描いた通りの競馬ができたという意味で、会心の1戦でした」という。 桜花賞のあと、陣営は「オークスに勝った場合、秋にはフランスのヴェルメイユ賞へ出走」という展望を明らかにした。また、一時はオークスではなく牡馬相手となる東京優駿(日本ダービー)出走も取り沙汰されたが、最終的にはオークス出走に収まった。ベガは順調に調教を積まれ、5月20日には栗東トレーニングセンターから東京競馬場へ移動したが、初めて長距離輸送を経験したことで一時的に発熱や食欲不振といった変調を来たし、スポーツ紙でも大きく報じられた。また、桜花賞の最後の1ハロン(約200メートル)が13秒4というスタミナ切れを思わせるものでもあり、5月23日のオークス当日は1番人気となったものの、オッズは3.4倍と桜花賞との比較では落ちる数字となった。しかしこの時点でベガの体調は回復していた。レースでは4番手を追走から最後の直線に入ると、残り200メートル付近で先頭のユキノビジンをかわし、同馬に1馬身3/4の差をつけて優勝した。春の牝馬二冠は史上9頭目、武はこれがオークス初制覇、松田は1988年のコスモドリームに次ぐ同2勝目となった。なお2着にユキノビジン、3着にマックスジョリーが入り、馬券対象圏は桜花賞と全く同じ結果となった。松田は「不安らしい不安はありませんでした」と語り、武は後に3.4倍というオッズを取り上げ「自信があるだけに『どうして?』という感じでした」と述べている。
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