燃費・効率面
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圧縮比が高く、燃焼室内の空気過剰率が大きいため、作動ガスの比熱比が高く図示熱効率が高い(投入したエネルギーに対して燃焼ガスの温度上昇に使われる割合が低い)と言われている。ただし、これは大型低速エンジンの場合であり、高速エンジンでは損失も多い。2010年現在の大型舶用ディーゼルの熱効率が50%に達するのに対し自動車用ディーゼルの熱効率は40%、ガソリン機関の熱効率が30%程度、ガソリンアトキンソンサイクル機関の熱効率は30%台後半である。また重量、負荷変動、速度、変速の効率が加味される自動車の走行パターンを与えた場合には差が縮まる。以下に乗用車用エンジンのトップランナー方式の実効率の報告書の結果を示す。2005年の予備調査のときより2010年の結果のほうがTank to Wheel 効率の差は半分に縮まっている。同じ程度の排気規制を満たすために差が縮まったともいえる。 この報告書の効率の算出方法について、まず燃料を比較すると、軽油はガソリンに比べ、密度が12%大きく、容積あたりの熱量も9%大きい、しかし質量あたりの熱量は5%小さい、熱量あたりの二酸化炭素(CO2)発生量は2.5%多く、質量あたりのCO2発生量は2%少ない、容積あたりのCO2発生量は10%多い。このような燃料の異なるエンジンを燃料の容積や質量単位で比べられないため、生産エネルギーと消費エネルギーを比べている。 このように補正したTank to Wheel効率ではJC08モードでディーゼルはガソリンより3.5%しか良くない。ただし、10・15モードなら8.5%良い。さらにWell to Wheel総合効率のJC08モードの効率とCO2排出量では11%良い。さらに Well to Wheel総合効率の10・15モードのCO2排出量では18%良い。 まとめると、自動車用ディーゼルは現在の厳しい排気規制の下でもJC08モードの Tank to Wheel 効率ではガソリンエンジンより3.5%エネルギー効率が良いが、軽油の熱量あたりのCO2発生量は2.5%多く、クルマ単体でのCO2の排出量の差はほとんどない。ただし、Well to Wheel 総合効率のJC08モードのCO2排出量で11%良い結論は変わらない。これはガソリンの精製に軽油よりもエネルギーを消費しているためである。 車両用ディーゼルは高速道路の定速走行など負荷が一定の状態なら熱効率どおりにガソリンより3割ほど効率が良い。しかし常用回転域が狭いことから市街地走行のような負荷変動と加減速を含む走行パターンでは一気にガソリンとの差がなくなる。変速が単純な10・15モードの効率がJC08モードより良いことから伺える。
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燃費・効率面
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高圧縮比のため、ピストンリング面圧、軸受面圧と稼動部品の質量が大きい、高速回転させると摩擦損などでエネルギー損失が急増する。高圧縮比のため高回転まで回らず、常用回転域が狭いため、車両用には走行速度に応じた変速が必要で、最適な回転数をはずすと効率が低下する。この2点が調和しないため、自動車用ディーゼル機関は大型舶用ディーゼル機関より大幅に低効率となっている。
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