災害・テロへの対策不足
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/05 11:18 UTC 版)
新幹線では、航空機や船舶と異なり、通常の運行では乗客名簿などは整備されない。万一、転覆事故などで多数の死傷者が生じた時には、死傷者の身元特定に支障をきたすのではないか、との指摘もある。もしそうなった場合、家族への連絡や事故の補償などで大きな問題となることが予想されるが、新幹線を運営する各鉄道会社はこの課題について踏み込んだ対策を採るまでには至っていない。 20世紀末から世界的に増加しているテロリズムに対しても新幹線は脆弱ではないかとの指摘もされている。現状では航空機のような搭乗時の手荷物検査がなく、その気になれば車内やプラットホームに、可燃物や爆発物、刃物を容易に持ち込むことができるのも事実である。また高架橋などの軌道設備には周囲から容易に接近できる箇所が多く、この面でもたやすくテロの対象となりうる。 なお、N700系では全てのドア上部と乗務員室出入口に、E5系・H5系やE6系、E7系・W7系ではそれらに加えてグランクラスを除く客室内にも監視カメラを取り付けている。東海道新幹線車内での放火事件以降、JR東海はN700系でも客室内とデッキ通路部にも増設することとし、2016年2月23日より増設が完了した編成が運行を開始した(1編成あたりのカメラは60台から105台に増加)。なお、客室内の映像については、N700系は常時録画だが、その他のE5系・H5系などはプライバシー保護の観点から非常ボタンが押されてから録画を開始する方式としている。JR東日本ではこれらの車両についても今後は同様に常時録画とする方針である。 JR東日本の各新幹線では、テロ対策のため、車内のゴミ箱を一切利用停止にしていた時期があったが、乗客からの不便という声が高まり、現在は利用を再開している。ただし要人来日時(特に主要国首脳会議開催時やアメリカ合衆国大統領来日時)は、利用を停止する場合がある。また、JR東海ではアメリカ同時多発テロ事件以降、系列の警備会社と連携し、沿線を24時間体制で巡察しているほか、全ての列車に警備員を警乗させている。
※この「災害・テロへの対策不足」の解説は、「新幹線」の解説の一部です。
「災害・テロへの対策不足」を含む「新幹線」の記事については、「新幹線」の概要を参照ください。
- 災害・テロへの対策不足のページへのリンク