火種の維持
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/03 01:11 UTC 版)
マッチやライターといった点火用具がなかった頃は、火をつけるのはそれほど簡単ではなく、一度つけた火種はできる限り保持することが望ましかった。ウェスタの聖火(英語版)のように火を燃やし続ける文化もあったが、火鉢や暖炉などでは火のついた炭に灰をかけて酸素量の低下で適度に燃え続けさせる燃えさしの状態にすることで長持ちさせることができた。 こういった維持の方法は、紀元前3300年頃の遺体アイスマンの持ち物からも発見されており、当時は燃えさしを楓の葉にくるんでいた。燃えさしは、鉄容器に苔を入れ燃えさしを包むEmber Box法、小枝などと一緒に樹皮と苔でくるむ方法、多孔菌キノコで挟み苔でキノコを包む方法などで運ぶことも行われる。 火縄銃や大砲などの場合は開戦時に火をおこすわけにもいかず、あらかじめ火縄に点火し、これを消さないようにしなければならなかった。火縄銃用の携帯燃えさしは胴火という容器に入れられた。忍者の必須の持ち物には、竹に適度に穴が開けられた打竹という火を入れる容器が含まれた。火種には、竹くずや木くず、竹や木を薄くした束にしたもの等に硫黄を塗った付竹・付木(硫黄木)、英語圏だと Sulfur stick をホルダー(holder)に入れて用いた。 中国では、577年に侍従が料理を作るために火折子というものを発明した。芋の蔓を水に漬けてからつぶし綿や葦を加えて乾燥させた物、もしくは土紙を丸めた物を作る。それに硝酸塩、硫黄、ロジン、樟脳、リンなど、それから匂いが付く香辛料を加えて竹筒か紙の筒に入れる。火をつけたあと、口の開いたキャップを付けて完成する。使用するには、キャップを外して、息をゆっくり吹きかけるか、軽く振ると火種として使えるようになる。
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