漸近線
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/05/08 14:27 UTC 版)

解析幾何学において、平面曲線の漸近線(ぜんきんせん、英: asymptote)とは、十分遠くで曲線との距離が 0 に近づき、かつ曲線と接しない直線のことである。通常の定義では、漸近線は曲線と無限回交わってもよい[1]。
漸近線は存在するとは限らず、また複数存在する場合もある。漸近線は、曲線上の点が十分進んだ所での概形である。
特に、座標平面における関数に対しては、そのグラフの漸近線の方程式は(存在の可否も含めて)求め方が確立されている。関数のグラフの接線の極限が存在するならばそれは漸近線に等しい[2]。
代数幾何学などでは、漸近線は無限遠点のみで曲線と接する直線と定義される[3][4]。
漸近線として直線だけでなく曲線を考えることもある。
例


定数関数、多項式関数のグラフには、漸近線は存在しない。漸近線が存在する最も簡単な例は、関数 f(x) = 1/x のグラフである。このグラフの漸近線は、直線 x = 0 と直線 y = 0 である。グラフを描くと、曲線 y = 1/x は x → 0±, x → ±∞ のときにそれぞれ y軸、x軸に近づくことが見てとれる。この場合はグラフと漸近線は共有点を全く持たないが、一般にはそうとは限らない。漸近線が存在する関数は他にもいくつかある。
なかでも代表的なものは以下の通りである。
関数名 | 関数式 | 漸近線の方程式 |
---|---|---|
正接関数 | y = tan x | x = π/2 + nπ (n は整数) |
指数関数 | y = ax (a > 0, a ≠ 1) | y = 0 |
対数関数 | y = loga x (a > 0, a ≠ 1) | x = 0 |
双曲線 | ![]() 例えば、逆正接関数 y = arctan x では、 | この節には内容がありません。 |
曲線である漸近線

漸近線の定義に直線であることを仮定しない場合もある。曲線によっては曲線である漸近線も考えた方が形をとらえやすいことがある。
例えば、曲線
漸近線
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/09/11 07:13 UTC 版)
代数曲線の各無限枝はその曲線の無限遠点(つまり、その射影完備化の点でアフィン部分に属さない点)に対応する。そして対応する漸近線はその無限遠点における曲線の接線である。接線に対する一般式を射影曲線に適用することはできるが、今の場合は陽には意味を成さない。 曲線の定義多項式の斉次成分への分解を p = pd + … + p0(各 pi は次数 i の単項式の和)と書けば、 P = h p = p d + z p d − 1 + ⋯ + z d p 0 , {\displaystyle P={}^{h}p=p_{d}+zp_{d-1}+\cdots +z^{d}p_{0},} および P z ′ ( a , b , 0 ) = p d − 1 ( a , b ) {\displaystyle P'_{z}(a,b,0)=p_{d-1}(a,b)} である。この曲線の無限遠点は p の (a, b, 0) の形の零点である。あるいは同じことだが、(a, b) が pd の零点である。代数学の基本定理によれば、代数閉体(典型的には複素数体)上では、pd は一次式の積に分解される。各一次の因子は曲線の無限遠点を定義する(bx − ay をそのような因子とすれば、それは無限遠点 ((a, b, 0) を定義する)。実数体上では、pd は一次式と二次式からなる積に分解される。既約な二次の因子は非実無限遠点を定義し、一次の因子は実点を定義する。点 (a, b, 0) が曲線の無限遠点であることを、(a, b) は漸近方向であると言い表す。q = pd と置くと、対応する漸近線の方程式は x q x ′ ( a , b ) + y q y ′ ( a , b ) + p d − 1 ( a , b ) = 0 {\displaystyle xq'_{x}(a,b)+yq'_{y}(a,b)+p_{d-1}(a,b)=0} となる。q'x(a, b) = q'y(a, b) = 0 かつ pd−1(a, b) ≠ 0 ならば漸近線は無限遠直線であり、実係数の場合には曲線は放物線のように見える枝を持つ。このことを曲線は「放物的な分枝を持つ」と言い表す。 q x ′ ( a , b ) = q y ′ ( a , b ) = p d − 1 ( a , b ) = 0 {\displaystyle q'_{x}(a,b)=q'_{y}(a,b)=p_{d-1}(a,b)=0} ならば、曲線は無限遠に特異点を持ち、複数の漸近線を持ち得る。これらは特異点の接錐の計算法によって計算することができる。
※この「漸近線」の解説は、「代数曲線」の解説の一部です。
「漸近線」を含む「代数曲線」の記事については、「代数曲線」の概要を参照ください。
「漸近線」の例文・使い方・用例・文例
漸近線と同じ種類の言葉
- 漸近線のページへのリンク