媒介変数表示された曲線の漸近線
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/07/07 01:25 UTC 版)
「漸近線」の記事における「媒介変数表示された曲線の漸近線」の解説
媒介変数表示された平面曲線 C : ( α , β ) → R 2 , t ↦ ( x ( t ) , y ( t ) ) {\displaystyle C\colon (\alpha ,\beta )\to \mathbb {R} ^{2},\;t\mapsto (x(t),y(t))} を考える(ここで、α は −∞ でもよく β は ∞ でもよい)。曲線 C は無限遠点に向かう、すなわち lim t → β − ‖ C ( t ) ‖ = ∞ i.e. lim t → β − ( x 2 ( t ) + y 2 ( t ) ) = ∞ {\displaystyle \lim _{t\to \beta -}\|C(t)\|=\infty \quad {\text{i.e.}}\ \lim _{t\to \beta -}(x^{2}(t)+y^{2}(t))=\infty } が成り立つことを仮定する。直線 l が曲線 C の漸近線であるとは、t → β− のとき点 C(t) と直線 l の距離が 0 に収束することと定義される。 一般に、点 C(t) = (x(t), y(t)) と直線 l : ax + by + c = 0 の距離は | a x ( t ) + b y ( t ) + c | a 2 + b 2 {\displaystyle {\frac {|ax(t)+by(t)+c|}{\sqrt {a^{2}+b^{2}}}}} で与えられるので、直線 l が曲線 C の漸近線であるとは、 ( ∗ ∗ ) lim t → β − ( a x ( t ) + b y ( t ) + c ) = 0 {\displaystyle (**)\quad \lim _{t\to \beta -}(ax(t)+by(t)+c)=0} が成り立つことと同値である。曲線の媒介変数表示は一意ではないが、漸近線の定義はその取り方に依らない。実際、γ(t) を媒介変数の取り換えとすると、(∗∗) は lim t → β − ( a x ( γ ( t ) ) + b y ( γ ( t ) ) + c ) = 0 {\displaystyle \lim _{t\to \beta -}(ax(\gamma (t))+by(\gamma (t))+c)=0} と同値であるからである。 実一変数の実数値関数のグラフは、媒介変数表示された平面曲線の特別な場合と考えることができる。関数 y = f(x) のグラフは点 (x, f(x)) の集合であり、x を径数 t とすれば、径数付け(の一つ) ( α , β ) → R 2 , t ↦ ( t , f ( t ) ) {\displaystyle (\alpha ,\beta )\rightarrow \mathbb {R} ^{2},\;t\mapsto (t,f(t))} が得られる。 例えば、曲線 y = 1/x の右上の枝は媒介変数 t により x = t, y = 1/t (t > 0) と表示できる。まず、t → ∞ のとき x → ∞ であり、曲線上の点と x軸の距離 1/t は t → ∞ のとき 0 に収束する。したがって、x軸は曲線の漸近線である。また、t → 0+ のとき、y → ∞ であり、このとき曲線上の点と y軸の距離 t は 0 に収束する。したがって y軸も漸近線である。同様に、曲線の左下の枝も同じ2本の直線が漸近線であることが示される。 関数のグラフでは、垂直でない漸近線は x → ±∞ にそれぞれ高々1本ずつに限られるが、媒介変数表示から定まる一般の曲線は、垂直でない漸近線を3本以上持つこともあるし、1つの垂直な漸近線と2回以上交わる場合もある。
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