漸近的自由性の計算
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2018/10/12 18:00 UTC 版)
QCDのような非可換ゲージ理論においては、漸近的自由性の存在はゲージ群及びフレーバー数に依存する。漸近的自由性は理論のβ関数を計算する事により調べる事ができる。β関数は繰り込み群方程式において利用される、エネルギースケールの変化(繰り込み群の流れ)に対し結合定数がどう変化するかを記述するパラメータである。結合定数を g としたとき、β関数は以下のように定義される。 β ( α s ) = μ 2 ∂ α s ( μ 2 ) ∂ μ 2 {\displaystyle \beta (\alpha _{s})=\mu ^{2}{\frac {\partial \alpha _{s}(\mu ^{2})}{\partial \mu ^{2}}}} ここで α s {\displaystyle \alpha _{s}} は理論の微細構造定数に相当するもので、素粒子理論においては αs = g2/4π が使われている。十分な近距離、または高い運動量の交換においては漸近的自由性をもつ理論は結合定数が小さくなるため、β関数を摂動的に評価する事ができる。 β ( α s ) = − α s 2 [ β 0 + β 1 α s 2 + … ] {\displaystyle \beta (\alpha _{s})=-\alpha _{s}^{2}\left[\beta _{0}+\beta _{1}\alpha _{s}^{2}+\ldots \right]} nf 種類のクォークをもつSU(N)のゲージ理論のとき、β関数は摂動の1次で以下のようである。 β ( α s ) ∼ − α s 2 β 0 ( α s ) = α s 2 π ( − 11 N 6 + n f 3 ) {\displaystyle \beta (\alpha _{s})\sim -\alpha _{s}^{2}\beta _{0}(\alpha _{s})={\frac {\alpha _{s}^{2}}{\pi }}\left(-{\frac {11N}{6}}+{\frac {n_{f}}{3}}\right)} もしもこの関数が負であったら、高エネルギーになるにつれ結合定数は 0 に向かい、この理論は漸近的自由性を持つ。このように、SU(3)のゲージ群、つまりQCDの理論はクォークのフレーバー数が 16 以下であれば漸近的に自由な理論である。 SU(3) のとき N = 3, β < 0 を満たすには nf < 33/2 である必要がある。
※この「漸近的自由性の計算」の解説は、「漸近的自由性」の解説の一部です。
「漸近的自由性の計算」を含む「漸近的自由性」の記事については、「漸近的自由性」の概要を参照ください。
- 漸近的自由性の計算のページへのリンク