漸進主義とは何か
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/02/17 07:30 UTC 版)
リチャード・ドーキンスは『盲目の時計職人』で断続平衡説を取り囲む(彼の視点によれば)広い誤解を訂正するために一章を捧げた。彼の中心的な指摘は、グールドが系統漸進説と呼ぶときに、それを進化の割合が「均一的」だという意味で用いている点である。ドーキンスはグールドらの漸進説を便宜的に「速度一定説」と呼ぶ。そしてこれは「ダーウィニズムのカリカチュア」であり、そのような説は「存在しない」。この劇画化されたダーウィニズムを却下すれば、後に残るのは一つの論理的選択肢だけである。それをドーキンスは「速度可変説」と呼ぶ。 速度可変説は大まかに二つに分けられる。一つは連続的可変説であり、もう一つは不連続的可変説である。不連続可変説は「トップギア」と「停止」しかない車のようなものである。エルドリッジとグールドはこの場合、後者であり、安定状態と相対的に急激な進化の間を飛ぶように行き来すると考える点では真にラディカルである。彼らは進化が爆発的に進むか、あるいは全くそうで無いかのどちらかだと主張する。連続的可変説は非常に速い状態から非常に遅い、そして止まっている段階まで、全ての中間段階を含めて進化の速度があり得ると考える。この見方よりも不連続可変という急進的な立場を選ぶ理由はないとドーキンスは指摘する。しかし化石の不連続さは周辺種分化した娘種がもとの生息地で祖先種と置き換わる生態的イベントで説明できると考える点では、エルドリッジとグールドとは異なる(マイアの立場に近い)。「進化的漸進主義に対する信念と、非常に急速な進化を含むいろいろな速度の進化の存在に対する信念との間にはいかなる矛盾も存在しない」。
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