漸進的自由化
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/10/23 08:05 UTC 版)
「市民プラットフォーム」の記事における「漸進的自由化」の解説
市民プラットフォームが主導する政府・連立与党は市場の均衡を損ねるような急進的な自由化政策、および社会の公私両部門に債務蓄積の構造が結果的に発生するような裁量的「長期」政策を最も嫌う。高成長率でなく、債務とのバランスの取れた安定成長を重視する。投資が拡大しているときは成長を犠牲にしてでも断乎として政府財政の安定を求め、支出の伸びをできるだけ控える。投資が縮小しているときは裁量政策を短期的政策として積極的に実行して正味の支出を積極的に拡大、その一方で長期的政策においてはその場その場の裁量的変更の余地をできるだけ排除する。そのため政府・与党は世界金融危機の際にも国際通貨基金(IMF)の勧告に反対して裁量的な歳出削減をほとんど(ないし全く)行なわず、またIMFが勧告していた公有企業の民営化案件の多くを見合わせることにする一方で民営化の事前準備のほうは慎重に進めた。結果として2009年は経済協力開発機構(OECD)諸国で最も高い経済成長率を記録し、株式市場が回復している現在は公有企業の新規株式公開(IPO)を積極的に行って政府財政を改善している。のちにIMFはこの政党の経済政策が正しかったことを認め、この政党が主導するポーランドの現政権を絶賛している。 市場の混乱時に裁量的な短期景気刺激策を積極的に行う一方で、裁量的な長期的景気刺激策を嫌う。また、古典派(新古典派や新しい古典派を含む)やオーストリア学派が推すような大幅な債務削減についても同様の熱意で断固として嫌う。このため経済状況の大変動の後においても支出の項目は漸進的な増加ないし削減を行う。この結果として世界金融危機後に政府債務が拡大した。この件では年金基金の内部の配分を調整する恒久的な法案を成立させるといった、実際に穏健かつ漸進的な解決策を採用している。この点ではIMFの勧告どおりに裁量的な経済緊縮政策を用いて財政赤字の大幅な削減を実行することを求める一部野党勢力と激しく対立している。上記のロストフスキとバルツェロヴィチの大激論はこの件を巡って起きた。 まとめると、長期政策としては各項目の支出額の決定の際に制度変更を必要とするいわゆる非裁量的な財政支出を重視し、裁量的な支出については市場変動時に短期的政策として積極的に行なって正味の支出を拡大するものの、総計については大幅な拡大も縮小も嫌い、市場安定時に正味の支出を削減して公的財政のバランスを回復させ、その際一貫して長期的政策ち投資のコンポーネンツを重視し、許される範囲で投資合計額の内容を再調整するのが同党の経済政策の特徴である。長期政策について貸付資金説に依拠するネオケインズ主義やニューケインズ主義とは異なり、流動性選好を踏まえた本来の意味でのケインズ経済政策に近いものといえる。
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