滑走開始
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/03/15 10:11 UTC 版)
スラストレバー(一般的な旅客機では2席ある操縦席の間にあるケースが多い)を操作して、動力源を定められた離陸推力まで上げ、浮上できる速度 (VR) まで加速する。このとき揚力増加と抗力増加のバランスによっては、フラップ(補助翼)を少し降ろしていることが多い(航空機の種類で定められている)。 後述のとおり、離陸はオートパイロットは利用できないが、推力を自動制御するオートスロットルを利用することはある。まず、ギアのブレーキをかけた状態で滑走路上でパイロットが7割程度に手動でエンジンの推力を上げてみて、エンジンの動作に異常がないことを確認する。それから、ギアのブレーキを解除したうえでオートスロットルのスイッチを入れる。オートスロットルが作動すると、スラストレバーが自動的に動き、エンジン出力が離陸に適した推力まで自動的に上昇し、離陸滑走を開始する。このとき、機長(左座席)は、機首上げに備えて左手で操縦桿を持ち、万一の離陸中止 (RTO) に備えて右手でスラストレバー上部に手を添える。同時に副操縦士(右座席)は、左手でスラストレバー下部を支える。 航空機の種類や条件(重量・気温など)と滑走路の長さによっては、その速度から・その速度に達する位置から残りの滑走路を使って離陸中止できる離陸決心速度V1がVRより低く先に到達することがある。V1を超えての停止操作は危険であるため、V1を超えたらいかなる事態(エンジン片発故障など)でも離陸操作を継続しなければならない(反射的に停止操作をしないようにV1とともに、先に述べたスラストレバーから手を離す決まりがある場合もある)。 整備された空港の滑走路のセンターラインには滑走路中心線灯が埋め込まれており、これによりわずかに滑走路表面に凹凸がある。離陸滑走を行うにあたって、このライトを踏むと航空機の揺れの原因となる。そのため、風などの気象条件や滑走路の路面状態がよいときにおいて、熟練したパイロットは、わざと滑走路のセンターラインを外して、ライトを踏まないように離陸滑走して、揺れの少ない乗り心地のよい離陸を行うことがある。この行為については、センターラインを外すため滑走路から逸脱する可能性があり、危険であるからと行わないパイロットもいる。
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