溶媒抽出/浸出法
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/13 06:53 UTC 版)
浸出法は、フランス語でマセラシオン(Macération)、英語でマセレーション(Maceration)。 溶媒抽出法(英:Solvent extraction) 溶剤抽出法、液液抽出法(英語:Liquid‐liquid extraction)とも。分離する2種類の溶剤を用いた抽出法で、芳香成分を揮発性溶媒に溶かしだして抽出する。19世紀終わりに誕生した。木や地衣類、根は粉砕して、花・葉・樹脂はそのままの形で利用する。材料を溶剤(溶媒:石油エーテル、ヘキサン、エチルアルコールなど)に浸し芳香物質を溶かし出した後、コンサントラーに入れて溶剤を気化させると、芳香物質を含むワックス状の塊コンクリートが残る。これをエチルアルコールと共に撹拌して凍らせ、濾過すると、香気成分を含むアルコールと非混和性の植物の蝋が残る。その後アルコールを気化させると、アブソリュートと呼ばれる精油に近い物質が得られる。水蒸気蒸留法より多くの香気成分を抽出できる場合が多い。また、低い温度で抽出するため、水蒸気による加水分解がなく、材料植物そのものに近い香りを得ることができ、バラやジャスミンなどの繊細な香りの花に利用される。ある程度の色素が含まれ、ワックス、溶剤が残留していることが多い。柑橘系精油の抽出法は低温圧搾法が知られるが、主な抽出法はそれではなく、柑橘製品の副産物として溶媒抽出法で生産されている。 超臨界流体抽出法(英:Supercritical fluid extraction) 二酸化炭素抽出法とも。液体の二酸化炭素には強い溶解力があるため、超臨界流体の状態にして芳香成分を溶かし出して抽出する方法で、1970年代後期に開発された。カフェインレスコーヒーを作る方法と同じものである。二酸化炭素に200気圧という高い圧力をかけ超臨界状態にし、この中に植物を入れておき芳香成分をその中に拡散・浸透させる。その後圧力を抜き流体を気化させると芳香成分だけ残る。低温で瞬間的に抽出ができ、熱による成分の変質がなく、材料植物そのものに近い香りが得られる。二酸化炭素を用いるため、精油成分に化学的な影響を与えたり、溶剤抽出法のように溶剤が残るおそれもなく、公害物質を出すこともない。高い気圧をかけるため多額の設備投資が必要だが、食品業界では最もよく利用される抽出法である。この方法で抽出した精油はアブソリュート(Abs.)、CO2エキストラクト[要出典]と呼ばれる。 エタノール抽出法(英:Ethanol extraction) アルコール抽出法とも。手軽な精油の利用法としては、植物をアルコールに浸し精油を溶かし出したものもあり、これはティンクチャーまたはチンキと呼ばれる。(例:ハーブチンキ、アヘンチンキ)精油成分が溶けている液体であり、薬用酒などがこの方法で作られる。
※この「溶媒抽出/浸出法」の解説は、「精油」の解説の一部です。
「溶媒抽出/浸出法」を含む「精油」の記事については、「精油」の概要を参照ください。
- 溶媒抽出/浸出法のページへのリンク