液圧式プレス
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/09/19 14:35 UTC 版)
液圧ポンプにて作動液を液圧回路内で循環させ、上下運動させたい時のみ電磁弁などで回路を切り替えて液圧シリンダーへ作動液を供給し、シリンダーに直結したスライドやクッションを動作させる。 上下運動・停止は液圧回路の切り替えで容易にできる。 取り出したいエネルギー量は液圧を調整して任意に調整できる。曲げ加工や大物の絞り加工の用途に向いているといった特徴がある。クッションの役割は主に、絞り加工にて金属の展延性を効果的に発揮させるためである。 上述のように、操作性は容易であるのに対し、油圧回路に関しては厳重な安全措置が必要とされる。というのも、油圧プレスでの死亡事故は非常に多く、特にメンテナンス時の死亡事故はプレス機の中でも最多である。動力が液体であるので、油圧回路のどこかから液漏れが相当量発生すると、スライドの自重などにより全く制御不能な状態に陥る事がある。これを、「自重落下」とよび、動力プレス特定自主検査や、日常点検においてはこれを厳しくチェックする必要がある。その対策として、バランスバルブの設置や、メンテナンス時の安全ブロック装着の義務付けなどが構造規格において規定されている。また、クッションによる事故も多い。液圧によりクッションを上昇させる時、そのベクトルを妨げるオペレータの想定外の要因があったとする。(例えば金型とクッションピンとの干渉やクッションピンとピン穴とのせり)この場合、時間経過に伴う物体の動作を二つの例で表すと、 ステップ①パターン1: 液圧の最大設定圧まで上昇し、停止する(エネルギーは蓄えたまま) パターン2: 設定した圧力の範囲内で妨げている要因を破壊する、または押しのける 上記の内、どちらも非常に危険な状態ではあるが特にパターン1は以下の通りかなり危険な結果を招く恐れがある。 ステップ②パターン1: 妨げていた要因が不意に外れた時、蓄えていたエネルギーを一気に放出しようと液圧がクッションを一気に押し上げ通常の何倍もの力が発生し、設定した高さを超え金型などに影響を及ぼした場合、通常干渉するはずのない部位でクッションピンが金型を押し上げ、クランプ治具などが弾け飛び周囲に飛散する。または金型自体が転覆し、最悪の場合オペレータの人身事故につながる。 パターン2: 破壊された要因がパターン1の誘発因子となる可能性もある。 機構や構造によって下記のような種類がある。 プレスブレーキ 単動油圧式プレス 複動油圧式プレス など。
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