消防団研究および提言
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/10/28 17:41 UTC 版)
「後藤一蔵 (研究者)」の記事における「消防団研究および提言」の解説
後藤は宮城県内の高校に勤務しながら農村社会学の研究をしていたが、その研究の中で1980年前後、消防団に関する体系的な研究がいまだ無いことに気が付き、また消防団の歴史について関心を持ち、以後消防団に関する研究を続けている。 後藤は宮城教育大学でボランティア活動論を教えながら全国の消防団について調査研究を進めていった。消防団に関する研究者がほとんどいない中で後藤は数少ない消防団研究者となっていった。戦後の消防団発足後200万人を越えていた人員が2007年には90万人を割り、最近の消防団は人員の減少に加えて高齢化、サラリーマン団員の増加などの課題を抱えているが、後藤はそういった消防団の実態や課題について啓発している。また、社会の変化に応じた消防団のあり方を考え、消防団への理解を深める活動をしている。 2010年、消防庁による消防分団長クラスを集めて全国各地で行われた「消防団員災害対応力向上研修」研修会の講師にも選ばれている。後藤は消防分団長たちに消防団の活動史を教え、消防団活動の掛替えの無さを伝えている。 2011年の東日本大震災では消防団員は最後まで危険な地域に踏みとどまって避難誘導や水門の閉鎖などの活動を行っており、多くの消防団員が犠牲となった。消防団員の犠牲者は消防職員や警察官の犠牲者の数をはるかに上回っている。後藤は消防団員の安全が精神論でないがしろにされてきたことや、消防団員の身分があいまいであることも問題と指摘している。 後藤は消防団をなくしてはいけないという観点からも使命感や根性といった精神論にとらわれることなく、自身が危ういときには勇気を持って自己の安全を第一に考えるべきだと提言している。東日本大震災での254名の消防団員の死を美談ではなく教訓とするべきだと主張している。 その後、消防団員も自身の命を守るルールが明確化していった。 東日本大震災以降、後藤は、地域防災力の強化について、消防団と自主防災組織の連携は必要不可欠と考え、各地の事例をとりあげ、雑誌や新聞等で発表している。
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