流線型展望車・ドームカー・2階建て車
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/11/23 09:35 UTC 版)
「展望車」の記事における「流線型展望車・ドームカー・2階建て車」の解説
アメリカで展望車が大きく変化したのは1930年代のことである。この時期に流線型デザインの軽量な客車が開発され、優等列車向けに普及したが、それらの車両では滑らかな流線型を描く密閉式の展望車を設けることが一つのスタンダードとなった。また、これらの展望車の発展系として1948年運行開始の「カリフォルニア・ゼファー号」等に連結された2階建て展望車「ビスタドームカー」を挙げることができる。こうした流線型の展望車の一部は、21世紀初頭でもカナダの大陸横断列車カナディアンの展望車として運行されている(パーク・カーを参照)。また、アメリカ・カリフォルニア州ナパバレー地方にあるナパバレー・ワイントレインでは、1952年製のビスタドームカーが連結された観光列車が現役運行中である。 展望ドーム車は編成の中間にも設けられた。前述のカリフォルニア・ゼファー号でも一部が2階建ての展望ドームとなった座席車が連結されたが、それとは別に車両全体が展望ドームとなった「フル・ドーム」車も建造されている。この例としてアッチソン・トピカ・アンド・サンタフェ鉄道(サンタフェ鉄道)向けの「ビッグ・ドーム」、シカゴ・ミルウォーキー・セント・ポール・アンド・パシフィック鉄道(ミルウォーキー鉄道)向けの「スーパー・ドーム(英語版)」などがある。ガラスドームのために重量が大きいのが特徴で、鋼製車のスーパードームは軽量構造にもかかわらず、112トンもの重量を有した。 また、1950年代の後半にはサンタフェ鉄道のシカゴ - ロサンゼルス間を結ぶ「エル・キャピタン号」用に全車2階建ての編成が新造された。エルキャピタン号は全車座席車だったので、2階建て車両は座席車とラウンジ車、食堂車であり、寝台車や最後尾用の展望車は製造されなかった。それまでの全車2階建て車両が通勤用として座席を増やし定員着席を目指してつくられた「ギャラリーカー」と呼ばれるものであったのに対し、この車両は展望を目的に建造されたというのが大きな違いである。この様式の車両はアムトラックの「スーパーライナー」に引き継がれ、寝台車も設けられた。スーパーライナーは西部の列車を中心に、アムトラックの長距離列車の主役として2018年現在も運行を続けている。 なお、旧来の展望車も一部が維持保存され、プライベートカーとして一般のアムトラック列車に併結され運転されることもある。これらは当該車両が貸し切りまたは私有であるため一般乗客の立ち入りはできない。 しかし、旧型展望車の中には先述のナパバレー・ワイントレインのように各地の観光鉄道(保存鉄道)で運行されているものもあり、これらを利用することで比較的低廉な価格で往年の展望車の旅の雰囲気を楽しむことができるようになっている。
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