沖縄県における死亡広告
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/11 19:48 UTC 版)
沖縄県における地方紙(沖縄紙)の主な収入源として死亡広告がある。沖縄県外の新聞の構成は記事対広告が6対4であるが、沖縄紙の構成は4対6である。沖縄紙では毎日1~2面を割いて死亡広告の掲載スペースを設けている。沖縄の共同体において通夜や葬儀等の義理は極めて重要で、友人や知人や親戚や先生や会社や取引関係先のお悔やみ情報を毎日見る習慣が根強くあり、死亡広告を見て関係者と感じるとそのほぼ全員が職務を一旦中断して葬儀会場に赴いて焼香をするのが風習となっている。そのため、会社経営者等ではない一般人でも遺族はほぼ必ず死亡広告を載せる。また本土の死亡広告で掲載するのは物故者の氏名や年齢や葬儀会場の場所や日程くらいで後はあっても喪主ぐらいであるが、沖縄の死亡広告で掲載するのはそれだけではなく、家族、親戚縁者、友人、関連組織等の個人属性情報を広く広範囲に提示するのが特徴である。 死亡広告の金額は沖縄紙2社(沖縄タイムスと琉球新報)は県内シェアが97%と寡占状態であって非常に高額であり、2013年時点で横3cm・縦6cmの最小枠でも7万円の費用がかかる。2紙に死亡広告を載せる家族もいれば、自分や周辺関係者が購読しているであろう1紙だけに死亡広告を載せる家族もいるが、1紙のみに死亡広告を申し込んだ場合、間もなく家族の元に掲載されなかったライバル紙の会社から電話がかかってくるという。また他のネットサービス社が死亡広告会社を立ち上げようと葬儀社にアプローチをすると、そのたびに「地元新聞社との協定があって一切部外者には提供しない」と断られている。なお、インターネットの普及率が他県と比較して低く、インターネットによる情報収集になれていない老人の多さも沖縄紙による死亡広告がビジネスとして大きくなる土壌となっている。沖縄ではその時々の死亡広告の掲載量を見ればどちらがより影響力があるかはわかる指標の1つになっていると語られるほど、沖縄では死亡広告がビジネスと大きく結びついている。
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