汁をかけた飯
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/05 15:06 UTC 版)
汁かけ飯(しるかけめし)やぶっかけ御飯(ぶっかけごはん)、犬飯(いぬめし)などとも呼ばれる。 ガスや電気が普及する以前、炊飯した後の飯を保温・再加熱することは難しく、また強飯が中心であったため、固くなりがちであった。そのため飯に湯や水、出汁などをかけ、柔らかくして食べることは一般的であった。水飯・湯漬け・茶漬けはそうした食事方法であり、普段の食事から軽食、あるいはデザート的な食事として、日常のみならず儀式的な食事においても饗された。『今昔物語集』では、肥満に悩む貴族に薬師が減量方法として「夏に水飯、冬に湯漬け」を食べることを勧める説話があり、朝廷の官人同士で湯漬けをともに食べる儀礼も存在した。室町時代の儀礼書『今川大雙紙』には、玄米の強飯に醤が入った汁や様々な具が入った汁をかけて食べる「しきの御飯」がもてなしの料理として掲載されている。江戸時代に入っても汁かけ飯がほぼ常食であり、享和2年(1802年)の料理書『名飯部類』では、44種類の汁かけ飯が紹介されている。 汁かけ飯は飯場では工事現場の事故(山崩れなど)を想像させる縁起の悪いものでタブーとされる。筑豊地方では、土葬の墓を連想するとして忌み嫌われ、知らずに食べようとしてリンチされる炭鉱夫を描いた山本作兵衛の記録画がある。また、東北地方においては工事関係者、鉱山関係者に限らずマタギ、木こり、牛方馬方など山中で危険な肉体労働に従事する者の間で汁かけ飯は「仕事に味噌をつける」として嫌われた。牛方の一団が朝食を摂る折に一人でも飯に汁をかけた者がいるとその日の旅程は中止になり、滞在費は汁かけ飯のタブーを犯した者が負担した。ただし「汁かけ飯」ではなく「飯を入れた汁」の飲食は許されていた。
※この「汁をかけた飯」の解説は、「ねこまんま」の解説の一部です。
「汁をかけた飯」を含む「ねこまんま」の記事については、「ねこまんま」の概要を参照ください。
- 汁をかけた飯のページへのリンク