民俗学、東洋趣味、「幻想的」様式
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「ベリャーエフ・サークル」の記事における「民俗学、東洋趣味、「幻想的」様式」の解説
ロシア5人組の先人たちとは異なり、ベリャーエフ・サークルの作曲家たちは強く偽の民俗学と関わりはしなかった - 新たに書かれた話や歌、もしくは時代の好みに合わせて作り変えたり修正を施した民話に対して、民話を新たにこしらえたり当て嵌めたりすることである。彼らがバラキレフが行ったようにロシアの他地域に赴いて積極的に民謡を研究することはなかった。ベリャーエフ一派の作曲家が民謡的な作品を書く場合、「彼らは単純にバラキレフやリムスキー=コルサコフの様式を模倣しただけだった。」 ベリャーエフ・サークルの作曲家のひとり、ミハイル・イッポリトフ=イワノフは東洋趣味音楽という点で5人組の後継者だった。ロシア帝国の中央部、そして極東部を描くために異国風の旋律、和声、リズム要素を用いることを東洋趣味と呼んでいたのである。彼は東洋趣味を下敷きにバラキレフの様式で3つのオペラ、『ルース』、『アズラ』そして『裏切り』を書いた。『裏切り』のあらすじは「ジョージアがペルシア人に支配された16世紀を舞台としたクリスチャンとムスリムの戦い」である。イッポリトフ=イワノフの作品では「バラキレフとボロディンを範とした東洋通による管弦楽作品」である2つの組曲から成る『コーカサスの風景』が西側に最も知られている。 リャードフはリムスキー=コルサコフに似た「幻想的な」傾向で作曲を行い、とりわけロシアのおとぎ話を題材とした交響詩『バーバ・ヤーガ』、『キキーモラ』、『魔法にかけられた湖』が好例である。この作曲スタイルは超自然的、もしくは魔法の人物や出来事を描写する際に全音音階とオクタトニック・スケールを広範に用いることを土台としており、それにより「幻想的」という言葉があてられる。彼は続く作品ではベリャーエフの美学とは袂を分かってしまうことになるが、イーゴリ・ストラヴィンスキーがバレエ音楽『火の鳥』において同種の音楽スタイルを用いて作曲している。
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