機体の状態
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/10/02 10:10 UTC 版)
「デルタ航空1141便墜落事故」の記事における「機体の状態」の解説
事故の目撃者によると、機首が急上昇し機体が左右に大きくバンクした後、制御不能に陥ったと報告した:5。NTSBの残骸調査より、滑走路18Lからおよそ900フィート (270 m)の地点にあるILSローカライザーアンテナに衝突した事が分かった:14–16。また第3エンジンが尾部から脱落し、ジェット燃料が漏れ出た事が機体胴体部に素早く火災が広がった原因だと判明した:14–16。 そこで調査官はなぜ機体は上昇する事が出来なかったのかを調べた。機体の性能調査を行うと、フラップとスラットを展開されていない事が明らかとなった:70。機長は機首を上げようと操縦桿を引き続けた事で、翼の上で気流が乱れ、胴体後方のエンジンへの空気の流れが不安定になった。その結果、コンプレッサーストールが発生した:70。その後、機体の速度がさらに落ち始め、十分に上昇できないままILSローカライザーアンテナに激突した。しかし、コンプレッサーのサージがエンジンの推力を大幅に減少させることはなく、飛行機が速度を上げることができなかったのは、エンジン推力の損失よりも高い迎角に起因する航空機の空力抵抗による事も判明した:70。またコックピット・ボイス・レコーダー (CVR)を調べると、離陸前の確認の際、フラップとスラットの展開を確認する声やフラップレバーを操作する音が記録されていなかった事から:71、パイロットが離陸前チェックリスト実行の際にフラップやスラットの展開を忘れた事で離陸出来なかったと結論付けた:71。 CVRの調査により、離陸前の設定が完了していない状態で離陸しようとすると作動するはずの離陸警報装置(英語版)(TOWS)が作動していなかった事が判明した:71。事故機は以前、タキシング中に警報が誤作動するのを防ぐために、TOWSをボーイング社の指示に従って改造していた:36。事故後に連邦航空局 (FAA)が行ったB727検査では、検査した1,990機の内、35機のTOWSが改造されていた:40。FAAはB727のTOWSを航空機のスロットルで作動するシステムからエンジン圧力比(英語版)(EPR)で作動するシステムに変更するよう勧告していた。デルタ航空はEPR対応のTOWSが配備されているB727を所有していたが、それらは全て他の航空会社から買収したものであり、デルタ航空は自身が保有するB727のTOWSをEPR対応に変更していなかった:40。
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