様式および構成
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/02/15 08:25 UTC 版)
「ダビデ像 (ベルニーニ)」の記事における「様式および構成」の解説
バロック期は彫刻の革新期であり、ベルニーニはその最前線に立っていた。ルネッサンス期の彫像は真正面を向いており、鑑賞者がある決まった位置から見ることを意図していた。一方、ベルニーニのダビデ像は、見る角度による変化も考慮に入れて制作され、像の周囲に空間を設け、鑑賞者に周囲を歩き回って鑑賞することを求める「立体作品」となっている。これにより、ダビデ像は鑑賞者を作品自体には描かれない敵ゴリアテとの戦いの渦中に引き込むのである。すなわち、ダビデはその爪先を台座の端に置きながら、文字通り現実と芸術作品の境界を踏み越えている。また、これは彫刻における時間と空間の関係に挑戦するものでもあった。ミケランジェロのダビデ像のような不変の静かさに対して、ベルニーニは動きの過程の中の一瞬を切り取ることを選択している。すなわち、ベルニーニはミケランジェロのダビデ像において内に秘められたエネルギーを解き放つ過程を描いたのである。 感情表現の面においても、ベルニーニの彫刻は、ダビデ像で見られる怒りなどのような、さまざまな極端な精神状態の表現を探求したという点で革命的であった。ダビデ像においても、攻撃に集中しているダビデの顔は眉をひそめて下唇を噛む、ゆがんだ表情になっている。伝記作家バルディヌッチとベルニーニの息子ドメニコは、バルベリーニがベルニーニの顔に鏡をかざし、ベルニーニが自分自身をモデルとして彫刻できるようにしていた、という逸話を語っている。これは、ベルニーニの制作手法についてだけでなく、未来の教皇との間で極めて親密な関係にあったことを示している。 写実性を追求するだけでなく、ダビデ像は戦士像をどのように表現すべきかについて、当時の慣習にも従っている。生涯において人体比率を追求したアルブレヒト・デューラーが示したように、ダビデ像は vir bellicosus (好戦的な男性) を最もよく表現する11頭身となっている。また、ダビデがのちに「ユダのライオン」となることから、後退した額、突出した眉、曲がった鼻を持つ獅子面で表現されている。
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