村の構造
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/08/18 21:46 UTC 版)
コンソの人々は標高1400 m 以上の山頂付近に要塞化した村を築き、そこから山麓まで石を組んで段々畑を展開している。周辺の他民族との境界線になっている川などの標高は600 m から800mである。山頂に住むようになったのは、他民族との戦いに備えるためと、標高の低い場所に出るマラリア蚊を避けるためという2つの理由によるとされている。村そのものの構造は、周囲を高い石垣に覆われた円形をしており、その中に木の柵で仕切られた民家が高い密度で林立している。人が多くなると、石垣の外側にさらに石垣を築いて外部に拡大するが、それでも対応できなければ他の山頂に枝村が作られる。 民家そのものは二段構造で、家畜を飼ったり、穀物を貯蔵しておく下層(アルハッタ)と住居に使う上層(オイダ)に分かれている。コンソは無駄のない生活で知られており、住居内でも空いたスペースがあれば、植物の栽培に利用される。特に朝食と結びついているコーヒーノキ、朝食・夕食用の煮物に入れられるシャラギッタ(学名 Moringa stenuputera)はほとんどの家で栽培される。村内では道端などでも空いているスペースがあれば、植物の栽培に使う。植えられるのは食用など実用的な見返りを得られるものばかりで、鑑賞を主目的として植物を植えることはない。花で髪を飾ることもあるが、それは集落からかなり離れたところに自生している植物を使うという。 住居内の家畜が出した糞は集落のすぐ外にあるクーファという貯蔵場所に捨て、発酵させて有機肥料として使う。人用のトイレは集落内になく、クーファ近くの茂みが野外トイレとして使われている。また、台所の灰は一定量溜まったら畑に持っていって、肥料として使う。 住居には屋根の上に装飾性のない土器を載せているものがあるが、これは長男の家であることを示す。コンソの社会では長男と非長男は截然と分けられていて、土地相続も長男が優先される。この結果、非長男は外縁部の開拓を行うか、他の地域に進出するかなど、選択肢が限られる。一部の住居には装飾土器が載せられているが、これはリネージの始祖と目されていて9代以上続いていることを示している。 集落内に家々がひしめいているものの、あちこちに広場(モラ)が設置されており、宗教的な儀礼を行う場としても機能している。この広場は子供の遊び場などにもなっているが、老女を除けば、女性は外縁沿いに歩かなければならず、横切ることは許されない。
※この「村の構造」の解説は、「コンソ」の解説の一部です。
「村の構造」を含む「コンソ」の記事については、「コンソ」の概要を参照ください。
- 村の構造のページへのリンク