材のタイプ
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/06 21:35 UTC 版)
二次木部 (材) は、道管の有無やその配列などに応じて以下のように類別される。材における各要素の形、大きさ、密度、配列様式などには大きな多様性があり、材から樹種を同定できる。 無孔材 (nonporous wood, non-pored wood)道管を欠き、早材から晩材にかけて次第に小さくなる仮導管が整然と列んだ材。球果類 (針葉樹) に見られ、被子植物ではヤマグルマ (ヤマグルマ科) などに見られる。木部繊維を欠くため一般的に広葉樹材 (有孔材) よりも柔らかく、商業的慣習から軟材 (softwood) ともよばれる。 有孔材 (porous wood, pored wood)道管をもつ材。木部繊維をもつため一般的に針葉樹材 (無孔材) よりも硬く、商業的慣習から硬材 (hardwood) ともよばれる。ただしバルサ (アオイ科) のように柔組織を多く含むため非常に柔らかい材をもつ種もいる。 散孔材 (diffuse-porous wood)道管が一つの年輪の中でほぼ均一に散在し、道管の大きさもほぼ等しい材。早材から晩材の区別が不明瞭で年輪界もはっきりしないことがある。ホオノキ (モクレン科)、クスノキ (クスノキ科)、スズカケノキ (スズカケノキ科)、ツゲ (ツゲ科)、カツラ (カツラ科)、ブナ (ブナ科)、シラカバ (カバノキ科)、イロハカエデ (ムクロジ科)、ヤマボウシ (ミズキ科) などに見られる。 半散孔材 (semidiffuse-porous wood)早材から晩材にかけて道管が次第に小型になり、散孔材と環孔材の中間的な性質を示す材。ヤナギ (ヤナギ科)、オニグルミ (クルミ科)、ウメ、ナナカマド (バラ科)、ヤマウルシ、ヤマハゼ (ウルシ科)、イボタノキ (モクセイ科)、ニワトコ (レンプクソウ科) などに見られる。 環孔材 (ring-porous wood)大型の道管が早材に環状に配置し、晩材の道管は小さい材。ふつう年輪界は明瞭。クリ、ミズナラ (ブナ科)、ケヤキ (ニレ科)、クワ (クワ科)、キハダ (ミカン科)、シオジ (モクセイ科)、ハリギリ (ウコギ科) などに見られる。 また横断面 (木口面) からみた道管の配列様式 (環孔材の場合は特に晩材部において) に応じて以下のように類別されることもある。 放射状 (radial pattern):道管が放射方向にならぶ。シラカシ (ブナ科)、アカシデ (カバノキ科)、カキノキ (カキノキ科) など。 接線状 (tangentional pattern):道管が接線方向にならぶ。ハリギリ (ウコギ科) など。放射状と接線状の中間的なもの (斜めにならぶ) は斜線状 (diagonal pattern) とよばれる。 火炎状 (紋様状) (dendritic pattern):道管が紋様状に集まって無孔領域と明瞭に分かれる。雑孔材 (mosaic-porous wood)、紋様孔材 (figured-porous wood) ともよばれる。ヒイラギ、モクセイ (モクセイ科)、ゴヨウツツジ (ツツジ科) など。 イチイ属 (イチイ科) の材 (無孔材). カエデ属 (ムクロジ科) の材 (散孔材). クルミ属 (クルミ科) の材 (半環孔材). アメリカトネリコ (モクセイ科) の材 (環孔材). ニレ属 (ニレ科) の材 (環孔材、孔圏外道管は接線状).
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