木質基材
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/15 09:18 UTC 版)
通常、キノコの種類により最適な木の種類(基材樹種)が異なり野生のキノコが利用している物と同じクヌギ、コナラ、クリ、ブナ、トチ、ハン、シデ、シイ、カシなどの落葉広葉樹が用いられる。針葉樹は生長阻害物質があり育ちにくい。針葉樹基材の利用は1975年頃から、各地の農業試験場や林業試験場が中心となり、生産者と共に針葉樹に発生したシイタケ、ナメコなどの野生菌株を収集と選抜をしたり、栽培条件の見出し試験を行っている。その結果、基材樹種毎の混合比や細かな栽培条件と共に、「6ヶ月程度の散水を行い利用する方法」が見出された以降、針葉樹は多くの菌種で利用されている。 産地によっては、原料木を他県に依存しない様にするため、地元産出の樹種を使用するだけでなく、同時に最適な栽培条件を求める取り組みが進められている。 オカクズは森本彦三郎が栽培技術を研究し確立した頃には、未利用資源であったが、現在の日本では国産材だけでは必要量を賄いきれず、コットンハル、コーンコブミール、ユーカリなどの基材原料を輸入または再利用している。 木質基材の使用量を減らすため、ガラスビーズを混入し洗浄再利用する方法も実用化に向けた研究が進んでいる。 おもなキノコ別の一般的な木質基材 キノコの種類 木の種類 シイタケ ブナ、トチ、ハン、シデ、コナラ、クヌギ、シイ、カシ等。中国産の菌床では養蚕や果樹栽培に使用したクワやリンゴの剪定枝なども使用している。 エノキタケ スギ、エゾマツ等の針葉樹オガコを6 ヵ月堆積散水、またはコーンコブミール、コットンハル、広葉樹全般 ブナシメジ ブナ、ナラ、トチ等の広葉樹または堆積散水のスギ、マツ等の針葉樹 ナメコ ケヤキ、クリ等を除くほとんどの広葉樹 マイタケ ブナ、ミズナラ、コナラ、クヌギ、カバ等の広葉樹 エリンギ 堆積散水のスギ、マツ等の針葉樹、または広葉樹、コーンコブミール ハタケシメジ バーク堆肥、堆積散水の針葉樹、広葉樹全般 ヤマブシタケ 広葉樹全般、コーンコブミール ヒラタケ ブナ、サクラ、トチ、ヤナギ、リンゴ、ネムノキ、モミジ、ミカン、カキなど、広葉樹全般 コーンコブミール(Corncob meal):トウモロコシの穂軸粉砕物、コットンハル(Cottonseed hull):綿実を挽き割った後に残る殻。
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