木更津中島の梵天立て
名称: | 木更津中島の梵天立て |
ふりがな: | きさらづなかじまのぼんてんたて |
種別1: | 風俗習慣 |
保護団体名: | 中島区 |
選択年月日: | 1992.02.25(平成4.02.25) |
都道府県(列記): | 千葉県 |
市区町村(列記): | 木更津市中島 |
代表都道府県: | 千葉県 |
備考: | 所在地が同一都道府県内のもの(このデータは種別1から移行しています) |
解説文: | この行事は正月七日の未明に日の出を待って、若者たちが晒木綿【さらしもめん】の褌【ふんどし】に鉢巻・襷【たすき】姿の裸体で海に入り、梵天を立てる行事である。 中島は、東・中宿・下宿・鯨・浜戸【はもと】・新町の六つの町内に分かれ、それぞれにワカイシュの組織がある。梵天立てはこの町内のワカイシュごとに、六つの組に分かれて行われる。海に入る若者はこの年に初めてワカイシュの仲間入りした者が中心となる。なお、後から海に入る梵天は、前の梵天より沖に立てなければならないという決まりがある。 この間海岸では、行衣を身にまとった出羽三山の行人【ぎようにん】たちが、注連竹【しめたけ】を張った祭壇にて、法螺貝を吹き鳴らし数珠を繰りながら般若心経を唱え、この年の五穀豊穰・悪疫退散・浜大漁を祈祷する。なお、この行事は、元禄年間に村に降りかかった災難を、出羽三山の威徳で解決することができたことに始まるという言い伝えがあり、この地域の出羽三山信仰との関わりを伝えている。 梵天は二種類ある。海に立てる梵天は、三間くらいの真竹の先端に、麻糸で結んだ御幣を付けたものである。このほか、一間ほどの長さの孟宗竹【もうそうたけ】の上端に藁を巻き付け、そこにたくさんの御幣を刺した梵天がある。これは若者によりいったん海岸に立てられた後再び宿に持ち帰り、御幣は各戸に配布される。 これらの御幣は全て出羽三山の行人によって作られる。 この行事は、この年初めて若者の仲間入りをした者が中心となり、一種の成人儀礼にかかわるものとして注目されるとともに、出羽三山の行人の参加によって、地域の繁栄と大漁を祈願するなど、東日本一帯のなかでも、出羽三山信仰が特に濃厚に分布する千葉県にあって、その具体的な姿を示すものとして貴重であるので、記録作成等の措置を講ずるものである。 |
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