有限群の表現
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/03/06 08:17 UTC 版)
詳細は「有限群の表現(英語版) 」を参照 群の表現は、有限群の研究にとって非常に重要なツールである。有限群の表現は、有限群論を幾何学や結晶構造へ応用する中でも発生する。有限群の表現は、表現論の一般論の多くの面をもち、他の表現論の分野の方法やトピックスを反映している。 標数 0 の体上では、有限群 G の表現は、便利な性質を多く持つ。第一に、G の表現は半単純(完全可約)な性質を持ち、任意の G-表現 W の部分表現 V が G-不変な補完表現(compliment)を持つというマシュケの定理である。この定理を証明する方法は、W から V への射影 π を選び、次で定義される平均 πG と置き換えることである。 π G ( x ) = 1 | G | ∑ g ∈ G g ⋅ π ( g − 1 ⋅ x ) . {\displaystyle \pi _{G}(x)={\frac {1}{|G|}}\sum _{g\in G}g\cdot \pi (g^{-1}\cdot x).} πG は同変であり、この写像の核が求めている補完表現である。 有限次元 G-表現は、指標理論(character theory)を使って理解することができる。表現 φ: G → GL(V) の指標は、次の式で定義される類函数 χφ: G → F である。 χ φ ( g ) = T r ( φ ( g ) ) . {\displaystyle \chi _{\varphi }(g)=\mathrm {Tr} (\varphi (g))\ .} ここに T r {\displaystyle \mathrm {Tr} } はトレースである。G の既約表現は、その指標により完全に決定される。 マシュケの定理は、たとえば、有限体のような正の標数の体に対しても、p が群 G の位数と互いに素である限り一般的に成り立つ。p と |G| が共通因子を持っているとき、半単純でない G-表現が存在し、モジュラー表現論と呼ばれる分野で研究されている。 平均をとるテクニックは、F が実数や複素数のとき、任意の G-表現は V 上の内積 ⟨ ⋅ , ⋅ ⟩ {\displaystyle \langle \cdot ,\cdot \rangle } を保存する。G のすべての元 g と W の w に対し、 ⟨ g ⋅ v , g ⋅ w ⟩ = ⟨ v , w ⟩ {\displaystyle \langle g\cdot v,g\cdot w\rangle =\langle v,w\rangle } という意味である。よって、任意の G-表現はユニタリである。 ユニタリ表現は、マシュケの定理が表現の直交補空間を取るころにより証明することができるので、自動的に半単純である。有限ではない群の表現を研究するとき、ユニタリ表現は、有限群の実表現と複素表現の良い一般化をもたらす。 マシュケの定理のような結果や平均をとることに依存するユニタリな性質は、平均を積分へ置き換えることにより、より一般的な群へと一般化することができ、定義可能な積分の考えをもたらす。このことはハール測度を使いコンパクト群(compact group)や局所コンパクト群(locally compact group)に対してなされ、結果として得られる理論が抽象調和解析である。 任意の体上で、有限群で良い表現論的性質を持つ別のクラスは、リー型の有限群(英語版)(finite groups of Lie type)である。重要な例は、有限体上の線型代数群(linear algebraic group)である。線型代数群の表現とリー群の表現は、これらの無限次元の群の例を拡張し、後者はリー代数の表現と密接に関連する。有限群の指標理論の重要性は、リー群やリー代数の表現にとってはウェイト(weights)が類似する理論となる。 有限群 G の表現は、直接、群環 F[G] を通して、代数表現へも結びついている。群環は、F 上の G の元を基底とするベクトル空間であり、積の操作は、群の操作と群操作とスカラー積が可換であることを要求する線型性により定義される。
※この「有限群の表現」の解説は、「表現論」の解説の一部です。
「有限群の表現」を含む「表現論」の記事については、「表現論」の概要を参照ください。
- 有限群の表現のページへのリンク