抽象調和解析
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/09/18 02:27 UTC 版)
調和解析のより現代的な部分の一つは、20世紀中盤に源を発する位相群上の解析学である。その中心原理となる考えは、局所コンパクトなハウスドルフ位相群上で定義された関数に対して一般化することのできる種々のフーリエ変換である。 可換局所コンパクト群に対する調和解析の理論はポントリャーギン双対性と呼ばれる。これは調和解析の持つ主な特徴を説明する分には十分な内容を持つと考えられる[要出典]。調和解析は、このような双対性とフーリエ変換の性質について研究すること、およびそれらの特徴をもっとほかの状況(たとえば、非可換リー群など)への拡張を試みることを目的とする。 一般の非可換な局所コンパクト群に対する調和解析は、ユニタリ群の表現論に近しい関係にある。特にコンパクト群に対するペーター・ワイルの定理(英語版)は、表現の各同値類から既約表現を選び出すことによって関数の調和分解が得られることを明らかにするものである。この調和分解の作り方は、古典フーリエ変換の持つ有用な性質(例えば畳み込みを点ごとの積へ写すことなど)を保ち、あるいは台となる群構造のある種の理解を導くことを可能とする(非可換調和解析も参照)。 可換でもコンパクトでもない(局所コンパクト)群については、未だ十分な一般論は知られていない(ここで「十分な」というのは、少なくともプランシュレルの定理と同等の内容を含むということと考えてよい)が、特定の場合についての理論はよく調べられているものが多くあり、例えば特殊線型群 SLn の場合の理論は無限次元の表現論において著しい役割を果たす。
※この「抽象調和解析」の解説は、「調和解析」の解説の一部です。
「抽象調和解析」を含む「調和解析」の記事については、「調和解析」の概要を参照ください。
- 抽象調和解析のページへのリンク