有界作用素とは? わかりやすく解説

有界作用素

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/02/16 13:53 UTC 版)

関数解析学において有界(線形)作用素(ゆうかいさようそ、: Bounded〈linear〉operator)とは、二つのノルム空間 X および Y の間の線型作用素 L であって、X に含まれるゼロでないすべてのベクトル v に対して L(v) のノルムv のノルムの比が、v に依存しない1つの数によって上から評価されるようなもののことを言う。言い換えると、次を満たす線型作用素 L のことを、有界作用素と言う:


有界作用素

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/12/13 01:23 UTC 版)

ヒルベルト空間」の記事における「有界作用素」の解説

ヒルベルト空間 H1 から別のヒルベルト空間 H2 への連続線型作用素 A: H1 → H2 は有界集合有界集合へ写すという意味で「有界」である。逆に有界線型作用素連続になる。二つ有界線型作用素の和および合成は、ふたたび有界かつ線型であり、このような有界線型作用素全体の成す空間には、作用素ノルム呼ばれるノルム ‖ A ‖ = sup { ‖ A x ‖ : ‖ x ‖ ≤ 1 } {\displaystyle \lVert A\rVert =\sup\{\,\lVert Ax\rVert :\lVert x\rVert \leq 1\}} が定義されるまた、H2 の元 y に対して、x ∈ H1 を ⟨Ax, y⟩ へ写す写像線型かつ連続である。リースの表現定理によれば有界線型作用素は必ず H1 の適当なベクトル A∗y に対する ⟨ x , A ∗ y ⟩ = ⟨ A x , y ⟩ {\displaystyle \langle x,A^{*}y\rangle =\langle Ax,y\rangle } の形で表現可能である。この定義から、もう一つ有界線型作用素(A の随伴作用素)A∗: H2 → H1 が定まる。このとき、A∗∗ = A であることが確かめられる。 H 上の有界線型作用素全体の成す集合 B(H) に、作用素加法合成および作用素ノルム随伴作用素考えたものは、作用素環一種である C∗-環を成す。 B(H) の元 A は A∗ = A を満たすとき自己随伴作用素もしくはエルミート作用素呼ばれるエルミート作用素 A が ⟨Ax, x⟩ ≥ 0 を任意の x で満たすとき、A は非負であるといい、A ≥ 0; で表す。さらに等号成立が x = 0 のときに限るならば A は正であるという。また、 A − B ≥ 0 ならば A ≥ B なるものと定義すれば、自己随伴作用素全体の成す集合半順序 ≥ が導入できる。作用素 A が適当な B に対して A = B∗B なる形に書けるならば、A は非負であり、さらに B が可逆のとき A は正になるまた、非負作用素 A に対して A = B 2 = B ∗ B {\displaystyle A=B^{2}=B^{*}B} を満たす非負平方根 B が一意定まるという意味で逆が成り立つ。これは、スペクトル論によって精緻化することができ、自己随伴作用素を「実」作用素看做すことが有効であると分かる。B(H) の元 A が A∗A = A A∗ を満たすとき、A は正規であるという。正規作用素は、自己随伴作用素自己随伴作用素虚数倍の和 A = A + A ∗ 2 + i ( A − A ∗ ) 2 i {\displaystyle A={\frac {A+A^{*}}{2}}+i{\frac {(A-A^{*})}{2i}}} に分解され、各項は互いに可換になる。正規作用素その実部と虚部とに分けて考えることも有用である。 B(H) の元 U が可逆かつその逆作用素が U∗ で与えられるとき、U はユニタリであるという。この条件は「U が全射かつ H の各元 x, y に対してUx, Uy⟩ = ⟨x, y⟩ を満たすこと」とも言い換えられる。H 上のユニタリ作用素全体は、合成に関して H の等距変換群と呼ばれる群を成す。 B(H) の元がコンパクトであるとは、それが有界集合相対コンパクト集合へ写すときに言う。同じことだが、有界作用素 T について、任意の有界列 {xk} に対して列 {Txk} が収束部分列を持つとき T はコンパクトである。多く積分作用素コンパクトであり、事実ヒルベルト=シュミット作用素として知られるコンパクト作用素クラス積分方程式論において特に重要な働きをする。フレドホルム作用素恒等変換定数倍の分だけコンパクト作用素とは違うけれども、核と余核有限あるよう作用素としても特徴付けられるフレドホルム作用素指数 (index) は index T = dim ⁡ ker ⁡ T − dim ⁡ coker T . {\displaystyle \operatorname {index} \,T=\dim \ker T-\dim \operatorname {coker} \,T.} で定義される。この指数ホモトピー不変量であり、アティヤ・シンガーの指数定理通じて微分幾何学で深い役割を果たす

※この「有界作用素」の解説は、「ヒルベルト空間」の解説の一部です。
「有界作用素」を含む「ヒルベルト空間」の記事については、「ヒルベルト空間」の概要を参照ください。

ウィキペディア小見出し辞書の「有界作用素」の項目はプログラムで機械的に意味や本文を生成しているため、不適切な項目が含まれていることもあります。ご了承くださいませ。 お問い合わせ


英和和英テキスト翻訳>> Weblio翻訳
英語⇒日本語日本語⇒英語
  

辞書ショートカット

すべての辞書の索引

「有界作用素」の関連用語

有界作用素のお隣キーワード
検索ランキング

   

英語⇒日本語
日本語⇒英語
   



有界作用素のページの著作権
Weblio 辞書 情報提供元は 参加元一覧 にて確認できます。

   
ウィキペディアウィキペディア
All text is available under the terms of the GNU Free Documentation License.
この記事は、ウィキペディアの有界作用素 (改訂履歴)の記事を複製、再配布したものにあたり、GNU Free Documentation Licenseというライセンスの下で提供されています。 Weblio辞書に掲載されているウィキペディアの記事も、全てGNU Free Documentation Licenseの元に提供されております。
ウィキペディアウィキペディア
Text is available under GNU Free Documentation License (GFDL).
Weblio辞書に掲載されている「ウィキペディア小見出し辞書」の記事は、Wikipediaのヒルベルト空間 (改訂履歴)の記事を複製、再配布したものにあたり、GNU Free Documentation Licenseというライセンスの下で提供されています。

©2025 GRAS Group, Inc.RSS