核と余核
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2017/02/09 05:38 UTC 版)
前加法圏のhom集合はゼロ射を持っているので、核と余核の概念が意味を持つ。それは、f: A → B を前加法圏の射としたとき、f の核は f と A から B へのゼロ射とのイコライザーであり、fの余核は f とこのゼロ射の余イコライザーである。積と余積の場合と異なり、前加法圏では f の核と余核は一般には等しくない。 可換群や環上の加群に特化すると、核の概念は通常の準同型の核と一致する、ただし、f: A → B の通常の核 K とその埋め込み K → A を同一視する。しかし、一般の前加法圏では核や余核の存在しない射も存在する。 核と余核とhom集合の群構造には便利な関係がある。f と g を平行射とするとき、f と g のイコライザーと g − f の核は片方が存在すれば一致する。同様のことが余イコライザーに関しても成り立つ。この事実から二項イコライザーには「差核」という別の名前がある。 双積と核と余核が全て存在する前加法圏を前アーベル圏と呼ぶ。前加法圏の核と余核は前アーベル圏において主に有用であり、さらに多くの性質を見出すことができる。
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