核でのヘリウムフラッシュ
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/04/17 16:17 UTC 版)
「ヘリウムフラッシュ」の記事における「核でのヘリウムフラッシュ」の解説
質量が太陽の2.25倍以下の恒星では、核内で水素を消費し尽くし、熱圧力が重力崩壊に耐えられなくなると、核ヘリウムフラッシュが発生し、恒星は収縮を始める。収縮の間、外層で水素の核融合が始まって外側に膨張し、赤色巨星の段階が始まるまで、核は熱くなり続ける。重力により収縮を続ける恒星は、最終的に縮退物質になるまで圧縮される。縮退圧力は、最終的に最も中心の物質の崩壊を止めるのに十分な強さになる。核内に残った物質は縮退を続け、温度は上昇し続け、ヘリウムが核融合を開始できる温度(108K)に達するとヘリウム点火が起こる。 ヘリウムフラッシュの爆発的な性質は、縮退物質で生じることに由来する。一度温度が1億から2億Kに達し、トリプルアルファ反応を利用したヘリウム核融合が開始すると、温度は急激に上昇し、さらにヘリウム核融合の速度は上がり、また縮退物質は良い熱伝導体になるため、反応範囲は広がる。 縮退圧力(密度のみの関数となる)は熱圧力(密度と温度の積に比例する)に比べ優位であり、合計の圧力は温度にほとんど依存しない。そのため、温度が大幅に上がっても圧力は少ししか上昇せず、核の膨張による安定化はされない。 この暴走反応では、熱圧力が再び優勢になり、縮退が終わるまでの数秒間のうちに、通常の恒星のエネルギー生産の約1兆倍に達する。その後、核は膨張して冷え、安定したヘリウムの燃焼が続く。 核の外でヘリウムを燃やし、縮退を始めている約2.25太陽質量を超える恒星は、このタイプのヘリウムフラッシュを見せない。約0.5太陽質量以下の非常に軽い恒星では、核はヘリウム点火が起こる程には加熱されない。縮退ヘリウムの核は圧縮を続け、最終的にはヘリウム白色矮星になる。 ヘリウムフラッシュは、電磁波の放射として直接観測されることはない。フラッシュは、恒星の内側深くの核で起こり、放出エネルギーは全て核で吸収され、縮退状態は解消される。以前のコンピュータによる解析では、同じ状況で非破壊的な質量の喪失が起こり得ることが示されたが、後にニュートリノの質量喪失を考慮に入れたモデルでは、質量喪失は起こらないという結果が得られた。
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